辛く、幸せな一年 | QOL ~Quality of Life~

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日々のいろいろ、仕事、乳がん。
でも、より良い人生のために。
毎日笑って、生きていこう。


この一年を忘れることはないだろうと思う。

こんなに辛く、
こんなに幸せな年だったから。

半月ほど前、
ふたご座流星群のニュースが流れたとき。
胸にきゅっと痛みを感じた。

ふたご座流星群。
一年前、ベランダから見上げ続けた流れ星。
何度も何度も願いごとを言おうとした。
願いごとを3回言えたら、先に少し希望がもてる気がした。
一瞬と呼ぶにはあまりにも短い流れ星。

一時間見上げ続けてわかったことは、
星は願いを叶えてはくれない。
願いを叶えるのは自分自身なのだと。

翌日、離婚届を出した。

あれから一年。




泣かない日がなかった。

友人からのLINE
夕暮れの空。
星がきれいだと思っては泣いた。

誰か助けてください。
もう立っていられない。
どんなに歩いても歩いても、
翌朝にはまた振り出しに戻っているような毎日。

これからの不安、
足元から崩れてしまった日常。
これがわたしが望んだこと。

考え続けた。
それでも一度も離婚を後悔したことはない。
間違っていなかった。
ただ、離婚したあとの感情がこんなに大きなものだとは、
想像を遥かに超えていて、
それに翻弄され続けて、どうしていいかわからなかった。

それでも、
自分の人生を取り戻した安堵に近い気持ちが、
わたしの支えになってくれていたように思う。




誰も「そこ」へ連れて行ってはくれない。
自分の足で行くのだと。

幸せになりたかったら、
自分で掴みに行くのだと。

だから進んでいくんだと。

ようやく前を向けたのが夏の少し前。




そうして、わたしは、
to do list を書いた。

死ぬまでに叶えたいこと。

思いつくまま一気に書いたそれは、
気が向けば明日にでも叶ってしまいそうなものから、
聞いた人がおお!と声をあげそうなものまで。
そんな項目が並んだ、長い長いlistになった。

そして、自分に万一のことがあったらどうしてほしいかも。

銀行口座、生命保険の類。
どう見送られたいか。
海洋散骨業者の連絡先、資料。
ひとつのファイルにまとめた。

書き上げて、こみあげた気持ち。
わくわくした。
どう死ぬかは、どう生きるかだからだ。
さあ、なにから叶えよう?

行きたいところへ行こう。
会いたい人に会おう。
そして、本当にほしいものを手に入れよう。

泣かなくなると同時に、
幸せを感じることが増えていった。

そして、手術。
迷いはなかった。

だってわたしには叶えたいことがこんなにあるのだからさ。



ブログを書き始めて8年。
毎年一年の最後には、
そのときの思いをそのまま書いてきたように思う。

ああ、わたしはこのときこんなことをこんな風に思っていたのだなと。
真っ直ぐに書いたことを、
恥ずかしかったり、照れくさかったり。
ときどき読み返す。




夏。
2日後には入院する、という日。
ある人と出会った。

2週間もの夏休みをどう過ごすのかと聞かれ、話をした。
手術をするということ。
この手術につながっている、乳がんのこと。
離婚のこと。
そして、このあとの人生のためにがんばる2週間です、と。

入院中、お見舞い、と、毎日花の写真が届いた。
日々のなんでもない話と一緒に。
すべてを聞いても変わらないでいてくれることに、
戸惑いながらもわたしも穏やかで素直でいられた。

人があまり経験しないような悲しみを過去に体験したその人が言った。
人生は有限だ。
そして時間はすべての人に平等であり、なにより大切なものだと。

夏が終わり、秋がきて、
そして冬になった。
それらを過ごし、いまわたし達は一緒にいる。

この歳になると、
変えられることより変えられないことのほうが遥かに多い。
争うより許すこと。
いがみ合うより受け入れること。
良いこともそうでないこともすべてを受け入れること。

わたしにも、相手にも、
いまは責任を持たなければいけない環境がある。
なんの憂いもないといったら嘘になる。
でもわたしは貪欲になろうと思った。

大切なことはしっかり掴んでいないと消えてしまうから。




先のことはわからない。
だから一日一日、
丁寧に自分らしく過ごせたらいい。

今日も良い一日だったと、
毎晩思えたらいい。

これがこの一年のできごと。


2019年が皆さまにとって良い年になりますように。




                                      2018 大晦日 haruco