中田ヤスタカの「NANIMONO」を聴きながら家を出る。
ここ2ヶ月くらいずっとそう。
わたしの気合注入曲。
本を読まなくなって、
感性に触れることが少なくなって。
寂しい気持ちがあったけれど。
どうにも本が読めなくなった。
病気をしてから。
本が大好きだった。
本から学んだこと、感じたこと、
わたしの半分は本からの世界が作ってくれたと言っていいくらい。
けれど、ある時期から、
書いてあることが頭に入りにくくなってしまった。
意味が理解できない。
同じ行を何度も読んでしまったりする。
疲れる。
登場人物の整理ができない。
書いてあることが伝わらない。
本を読むことが楽しくなくなり、
手に取ることもなくなった。
時々寂しい気持ちにもなったけれど、
もう仕方がない。
本当に読まなくなった。
一時期同じような理由から、
ブログを書くのがしんどくなった。
途中でなにを書いているのかわからなくなることもよくあった。
一言で言うなら、自分が鈍くなったように思えた。
今年の夏から、音楽を聴くようになった。
本を読まなくなり、
外からの感性に触れる機会が減ったわたしに、
音楽の世界はとても新鮮だった。
iPhoneに次々曲を入れて、
毎日好きな曲を聴き続けた。
すごく楽しかった。
秋頃、癌専門医である友人にふっと話した。
なんか言い訳かもしれないけれど、
わたし治療してから、理解力が落ちた気がするんだよね。
それまで、こういう類の話をすると、
それは年齢もあるよ。
なんでも治療のせいにするのは良くない。
そんなエビデンスは聞いたことないね。
などと言われることがほとんどだったので、
ひとり言のように言ったのだけれど、
「ああ、それはあると思うよ」
ええー?
びっくりするわたしに、
「抗がん剤は毒だからね」、と友人医師。
ある部位の癌によっては、
抗癌剤治療後のIQが平均より下がるという結果があること、
長く継続して診ている患者さんたちにも、
「そうとしか」思えないことを感じることがあること、
経験から、抗がん剤の影響から復活しない機能があると思うこと、
そんな話をした。
これはあくまでも友人の見解だけれど、
わたしはどこかでちょっと気持ちが楽になった気がした。
そういうこともあるんだね、と。
なら、仕方ないな、というような。
別の機会に、この友人に聞いたことがある。
あなたが癌になったら、抗がん剤する?と。
友人は即答で、「する」と答えた。
適した薬があるならする、と。
友人は、自分の腕に自信を持っている。
抗がん剤治療を数多く奏功させてきた経験から、
なにを書きたいのだかよくわからなくなってきた。
皆さま、良いクリスマスを!
抗がん剤治療を数多く奏功させてきた経験から、
そう力強く答えているのだと思った。
ちなみにわたしは、
文字を目で追ってそれを理解する、
ということと、
今日が何年何月何日、
ということがテキメンに駄目になった。
職場のわたしの作業スペースには、
平成28年/2016年
と、テプラで打ち出してある。
ついでに物忘れが凄まじい。
注意力も散漫だし、
集中力も本当に落ちた。
まあ、それこそ年齢なんだかなんだか、
わからないけどさ。
抗がん剤、TC療法から5年。
あの経験は、わたしを強くさせた。
あの経験は、わたしを強くさせた。
わたしがいまこうしていられるのは、
抗がん剤のおかげだとも思う。
なにを書きたいのだかよくわからなくなってきた。
皆さま、良いクリスマスを!