抗がん剤TC療法から5年 | QOL ~Quality of Life~

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日々のいろいろ、仕事、乳がん。
でも、より良い人生のために。
毎日笑って、生きていこう。

毎朝、

中田ヤスタカの「NANIMONO」を聴きながら家を出る。

ここ2ヶ月くらいずっとそう。

わたしの気合注入曲。


本を読まなくなって、

感性に触れることが少なくなって。

寂しい気持ちがあったけれど。

どうにも本が読めなくなった。

病気をしてから。


本が大好きだった。

本から学んだこと、感じたこと、

わたしの半分は本からの世界が作ってくれたと言っていいくらい。

けれど、ある時期から、

書いてあることが頭に入りにくくなってしまった。

意味が理解できない。

同じ行を何度も読んでしまったりする。

疲れる。

登場人物の整理ができない。

書いてあることが伝わらない。

本を読むことが楽しくなくなり、

手に取ることもなくなった。

時々寂しい気持ちにもなったけれど、

もう仕方がない。

本当に読まなくなった。

一時期同じような理由から、

ブログを書くのがしんどくなった。

途中でなにを書いているのかわからなくなることもよくあった。

一言で言うなら、自分が鈍くなったように思えた。


今年の夏から、音楽を聴くようになった。

本を読まなくなり、

外からの感性に触れる機会が減ったわたしに、

音楽の世界はとても新鮮だった。

iPhoneに次々曲を入れて、

毎日好きな曲を聴き続けた。

すごく楽しかった。


秋頃、癌専門医である友人にふっと話した。

なんか言い訳かもしれないけれど、

わたし治療してから、理解力が落ちた気がするんだよね。


それまで、こういう類の話をすると、

それは年齢もあるよ。

なんでも治療のせいにするのは良くない。

そんなエビデンスは聞いたことないね。

などと言われることがほとんどだったので、

ひとり言のように言ったのだけれど、

「ああ、それはあると思うよ」


ええー?

びっくりするわたしに、

「抗がん剤は毒だからね」、と友人医師。


ある部位の癌によっては、

抗癌剤治療後のIQが平均より下がるという結果があること、

長く継続して診ている患者さんたちにも、

「そうとしか」思えないことを感じることがあること、

経験から、抗がん剤の影響から復活しない機能があると思うこと、

そんな話をした。


これはあくまでも友人の見解だけれど、

わたしはどこかでちょっと気持ちが楽になった気がした。

そういうこともあるんだね、と。

なら、仕方ないな、というような。


別の機会に、この友人に聞いたことがある。

あなたが癌になったら、抗がん剤する?と。

友人は即答で、「する」と答えた。

適した薬があるならする、と。

友人は、自分の腕に自信を持っている。

抗がん剤治療を数多く奏功させてきた経験から、

そう力強く答えているのだと思った。


ちなみにわたしは、

文字を目で追ってそれを理解する、

ということと、

今日が何年何月何日、

ということがテキメンに駄目になった。

職場のわたしの作業スペースには、

平成28年/2016年

と、テプラで打ち出してある。

ついでに物忘れが凄まじい。

注意力も散漫だし、

集中力も本当に落ちた。


まあ、それこそ年齢なんだかなんだか、

わからないけどさ。


抗がん剤、TC療法から5年。

あの経験は、わたしを強くさせた。

わたしがいまこうしていられるのは、

抗がん剤のおかげだとも思う。


なにを書きたいのだかよくわからなくなってきた。

皆さま、良いクリスマスを!