先週。
一言で言うなら、
実母と和解しました。
会わなくなって約3年。
声を聞かなくなって、約2年半。
長い長い時間がかかりました。
わたしの病気がきっかけで、
母との様々な問題が溢れ出て、
あることが引き金となり、
もう一生会わなくていい、
そう思ったのが2年半前。
当時は、
怒りと悲しみが交互に押し寄せ、
精神的にも相当不安定でした。
癌になったことと、
実母との確執が同時期に起きたことは、
一時期、
この世から消え去りたい、
と思うほど、わたしにとっては辛いことでした。
母に愛されてこなかった、
という現実を認めることは、
惨めで勇気がいることでした。
それ以上に、
怒り、悲しみ、憎しみ、
そういった激しい負の感情を持ち続けることが、
こんなにもしんどく辛いことであることを知り、
憎めば憎むほど、
大きくなるそのしんどさに、
母への思い云々よりも、
この状態から抜け出したい、
こんな自分は好きじゃない、と、
自分への嫌悪感も増していきました。
母のことを思えば思うほど、
いくつもの思いが交錯して、
答えが出ない日が続きました。
いま振り返っても、
母のことを考えない日はなかった。
このままでいいとは思ってはいなかった。
けれど、
どうしたらいいのか、
考えても考えても、
わからなかった。
それでも、
今年あたりから少しずつ、
「もう二度と会いたくない」
から、
「どうすれば歩み寄れるのだろう」
というところまで、
気持ちが変化していったものの、
「母と話す」「母と関わる」
ということを想像しただけで、
また悪い精神状態に追い込まれるかもしれない、
という怖さが先に立って、
行動に移すことがなかなか出来なかった。
電話をかける、
メールを打つ、
といういうことを具体的に想像しただけで、
涙が出た。
そう、怖かったんだ。
また最悪の状態になるのが。
先週、仕事が遅くなった日。
一緒に上がった同僚と、
ごはんを食べて帰ろうということになった。
同僚は、実の母と10年以上、
同じ屋根の下で確執があった経験がある。
わたし自身、母のことを、
あまり人には話してこなかったけれど、
この同僚には、
この何年かの間に、
ちょこちょこと話したことがあった。
仕事のことを話していたはずなのに、
いつの間にか、
話題がそうなった。
話の途中で、同僚が言った。
ねえ、100%許さなきゃいけないと思ってない?
そんなことできるわけがない。
お母さんはもう今後も変わることはきっとない。
そしたら、あなたが変わるしかないんだよ。
100%なんて絶対無理。
いくら親子だからって無理。
2%でいいんだよ。
2%だけ、許せばいいの。
あとは許せなくてもいいんだよ。
100%許さなくていいんだよ。
その言葉が、わたしの胸の奥深くまでスッと入ってきた。
目からウロコが落ちた。
そう、わたしが踏み出せなかったのは、
考えていながら、
母に歩み寄ることができなかったのは、
100%許すことができないと思っていたからだ。
どうしても全てを水に流すことができなかった。
100%許す心にならなければ、
母とはもう会うわけにはいかない、
母との今後はないと、
そう思っていたからだ。
2%でいい。
その言葉は、
一筋の光のように思えた。
それなら、
わたしにもできる。
そう思った。
同僚は、こうも言った。
自分が楽になりたかったから、
わたしもそうしたんだよ、と。
わたしも楽になりたかった。
母への思いよりも何よりも、
もうしんどくて疲れちゃったから。
自分のことが嫌いになっていたから。
そして、
実母と話しました。
電話の前、
2%じゃ、あんまりだ。
5%はイケる。
それでも2年半ぶりとなると緊張して、
5%5%と、声に出しておまじないにしました。
長い間の不義理を詫びたあと、
勇気を出して、
母に言いました。
長い不義理の引き金となった母の言葉を、
取り消してほしい、
謝ってほしい、と。
それでもうこの確執を終わりにしたいのだ、とも。
母からの答えは、
そんなことは言っていないけれど、
あなたがそう言うなら謝るわ、
というものでした。
最悪、怒りを買い再びの確執も覚悟していただけに、
拍子抜けして、
肩の力も抜けました。
2年半ぶりに聞く母の声は、
想像していたよりも遥かに弱くなっていて、
やりきれない思いにもなったけれど、
まずはわたしができる5%のことでいいのだと、
その日は電話をおしまいにしました。
涙がでることもなく、
感動もなく、
あれ以来、特に何が変わるわけでもなく、
ただ普通に毎日が過ぎていくけれど、
抱えていた荷物の重さは、
確実に軽くなって、
わたしのこころのなかも、
穏やかでいられている。
5%からスタートした再出発が、
この先どうなるかはわからないけれど、
焦りも無理もしないけれど、
少しでもいい方向に行くといい。
もう大阪へ行っても、
泣かないかな(笑)
同僚に報告したら、
良かったね、よくがんばった、と、
喜んでくれました。
5%までがんばったよと言ったら、
おかしそうに笑っていました。
これまで、母との件で、
言葉をかけてくださった方、
アドバイスをくださった方、
本当にありがとうございました。
いつも自分を好きでいられるような、
生き方をしていきたいと、
そういう自分でありたいと、
心から思っています。