もちろんそれまでも、
訃報に接した際は、
亡くなった方に思いを馳せた。
残念なことだと。
辛かっただろうと。
でも、乳がんになって以降は、
死、というものへの思いが、本当に変わった。
同じ立場の人が皆そうであるように。
朝、速報でニュースが流れたとき、
中村勘三郎さんの死を知らせる文字を見たまま、
その場に立ち尽くしてしまった。
どうして。
何故、あの人が亡くなってしまう?
あんなに素晴らしい人が。
歌舞伎のことはあまりよく知らない。
けれど、
いろんなところで垣間見る勘三郎さんの姿から、
わたしが想像していた人柄は、
ニュースでいくつものエピソードが報じられて、
ああ、想像していた通りの方だったのだなと。
亡くなってから確かめることになるなんて、
本当に本当に、残念だけれど。
舞台へ復帰することを、
心の拠りどころにしていた。
「心の拠りどころ」なんて、
それまでは、深い意味を考えたことがなかった。
でも、いまはわかる。
どんなに無念だったろう。
いくつもの思いを知るにつれ、
そのひとつひとつが、
痛みになって、胸の奥に刺さる。
刺さるたびに、涙が出た。
人はいつか死ぬ。
どんな人も。
わかってはいるけれど。
辛い。
何度、別れを経験しても、
けしてそれに慣れることはない。
心からご冥福をお祈りいたします。

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