小さい弟がちょっと病気で人一倍お母さんの手が必要な子で
お父さんはお仕事が忙しくていつも帰りが遅くて
元気なお兄ちゃんはいつもお留守番で・・・
お隣の男の子は良く家の前で泣いていました。
お友達と遊びに行って、帰ってくると家がからっぽなのは
小学校に通いだしたばかりのお兄ちゃんにはやっぱりさみしい事だったんだろう。

夕方、夕日であたりが赤くなる頃だったり、青暗い夜の手前だったり
泣き声に母が飛び出して行って、連れて帰って、うちの犬と遊んだり、一緒にご飯を食べたり、宿題やったり・・・。

だんだん大きくなってそういう事がなくなって、年の離れたお隣さんとはあまり喋ったりしなくなった。
そのうち、引っ越して行って、時々漏れ聞く噂話なんかで「あの子はどうしてるだろう?」と思ったりしていた。
手のかかる弟君よりも元気で友達が多くて、いつも走り回ってて、でもいつも泣いていたお兄ちゃんが気になっていた。
母がとても気にかけていたからかもしれないけど・・・。
大人になって、もう彼を気遣っていた母も他界して、何度かBARで遭遇した。
彼はいつも大勢のお友達と一緒なのに顔を合わせると、必ず席まで何か持って来てあいさつをしていった。
一度「もう、お隣でもないんだから、こんな風に気遣いはいいのよ」と言うと
「素通りや知らんぷりなんかできないですよ」と言って、とても楽しそうに笑っていて、ほっとしたりした。

今日、ネットで彼がとても沢山のお友達や仲間と自分のやりたいことをやって、結婚して、幸せそうな姿を
偶然にみかけた。
別の人の画像検索をかけていて、その人関係の写真に引っかかった、笑った顔が全然変わって無くて
「この人隣のお兄ちゃんに似てるなぁ…」と思ったら本人だった。
随分、内側に熱くてどろどろしたものを抱えていたのだと
なんとなくどこかで知っていたくせに、知らない事にしていたことを「こうでしょう?」と見せられたような
胸の内を暴かれて、すっきりしたような…胸が痛いような不思議な気持ちだ。

でも、本当にとても幸せそうに笑っていて、とても嬉しかった。