【囲碁電王戦 国内最強ソフトvsトップ棋士】
第3局 趙治勲名誉名人「ボクは退化したけど、(Zenは)すごく成長した」
http://www.sankei.com/economy/news/161123/ecn1611230019-n1.html
趙治勲という名前を知る人は多いだろうと思う。
彼は4歳で囲碁を始め、囲碁を打つために6歳で来日して、11歳でプロ棋士になり、還暦を迎えた現在も現役トップクラスの棋士でおられる生きるレジェンドで伝説は今なお続いているように思う。
この人は国を超えて囲碁の世界の至宝なのだと思う。
解説で来ているのに、ゴルフの話が楽しくなっちゃったり
ずっと小林光一名誉名人とおしゃべりしちゃったり
大盤解説に現れて、この手が面白いとひたすらその先を「ここをこうして…」と読み続け
すでに画面は対局場を映しているのに「ここにね、こうするとこうなる」と声だけだから全然わからない
解説の王銘エン九段に「先生、テレビですよ、今映ってないですよ」と注意されたり
対局中にお茶がなくなって読み上げのお茶を強奪したり
山下敬吾九段が本因坊になったとき、彼を「敬吾ちゃん」と呼び
ひたすら張栩九段を強いから嫌いだと言う
自由で面白いだけのおじいちゃんなわけではない
盤の前に座った趙治勲は独特の存在感がある
きっと対局者はもっと違う圧を感じていることだろうと思ってみている。
解説も面白いだけではない、きっとこの人には人と違うものが見えているんだろうと思うことがある
今日、趙治勲はDeepZenGoと対戦した。
私ならAIに勝てる、といつもの趙治勲節のPVはよくできていた。
吉原由香里六段の「DeepZenGoは序盤が優秀だと言いますので注目ですね」という言葉にワクワクと学ぶ気満々の心意気を感じた
日本の囲碁棋士にとってコンピュータは敵というより、とびぬけて優秀な棋士の出現なのかもしれない
井山六冠の解説も丁寧でわかりやすかった
DeepZenGoの布石は時々えっと思うようなところに石を置く
でも、あれはきっと地合いの表示をしたら、確実に地が増えている場所なのだと思う
PCソフトで囲碁を覚えた私でも、あの薄い、弱い石でもサクッと地を示す、地合い表示の基準がよくわからないと思っていたが、このAIソフトも同様のようだ
3局目の最後は見ていて、少々消化不良のような終局だったが、確かに白はもう終わっていたようだ。
驚いたのは終局後の趙治勲名誉名人のコメントだ。
興奮気味だった1局目のコメントとは違い、抑え気味の声で静かに優しく語っていた。
自分は間違っていた、人間は強くない、自分は布石では負けたのだ、という。
55年囲碁を勉強してきて、今までのものを見直さなきゃいけない、と言う。
(アルファ碁と対局したセドル九段も同じように言っていたが)
これは重い、それは55年の囲碁人生を見直すのに等しいことで、簡単に言えることではない
そしてこれはいろんな意味を持つ、ターニングポイントなのだと感じた。
そして、対局した盤面の上を愛しむように撫でるように手を動かしながら
こんなにも強くしてくれて…と言った。
趙治勲はこの強いものの出現を寿いでいた。
その強さを認めて、僕たちはもっと強くなれると言い、開発者に謝意を示した。
胸が熱くなって、思わず涙ぐんでしまった。