本や映画・絵画・音楽から何を見出してどんな影響を受けるかは本当に計り知れないと思う。

後世に残る発明も然りでダイナマイトを発明したノーベルは自分の発明が大量殺戮に繋がるとは想定外だったであろうと思うし、ヒーリング効果バッチリのG線上のアリアも別に癒しを目的に作られた訳ではないと思う。


空前のスキーブームに火をつけたと言われる映画「私をスキーにつれてって」を私は当時主演女優の大ファンだったBFに誘われて公開当日に観に行った。
誰もが惹かれたという楽しそうなスキーシーンやスキー場での恋より、私は無性に教習所に行きたくなった。
もともと物凄いマイペースであまり、映画やドラマに影響されて
「私もXXするわよ!」
とノリノリになる性質ではなかったが、何故か運転免許に激しく燃えた。

「仕事は腰掛け、夢は専業主婦」で「外で働くのは嫌、私は良いおかあさんになるの」と公言して憚らなかった私は会社の後輩から「こんなにヤル気が無いくせにこんなに忙しい人も珍しい」と言われていた。
自家用車は一人一台と言われるお土地柄でありながら
「皆、車持ってるから私はいいの。乗せてもらうの。」
と、図々しいというか身の程知りすぎというかそんな事を言っていたが、あの映画で俄然免許が欲しくなった。
儚げなヒロインより雪道を運転するオネエサン連中が物凄くかっこよかったのだ。
余談だがこの時点でヒロインよりオネエサンに惹かれた自分の資質というものに早く気づくべきだったと思う。
専業主婦願望は俺様による完全に刷り込みの価値観で
「女の子は可愛いくて、望まれて結婚するのが一生の幸せ得る方法」
だと思い込んでいった。
後日、私は自分がそういう事で幸せだと思えないという致命的な間違いに気づく。
ナニゴトにも向き不向きがあって、私は決定的に「向いてない」人間だった。


運転免許も随分狙いから外れた嵌り方だったと思う。
大方の人間はスキーに嵌ったはずだ。
ただ、私は全く雪の降らない地方に生まれたので、スキー=激寒い=寒いの大嫌い という図式が出来上がっていて何度誘われても、「雪の降ってるような寒い所へワザワザ出かける」気にはならなかった。
婚約中に無理矢理夫に連れて行かれたが、めちゃくちゃ寒かった。
スキーを履いてイキナリリフトに乗せられ、降りた途端に谷に落ちそうになった私を「ヤバイ落ちるっ!」と突き飛ばしたのは夫で助けてくれたのは子供を背負った無茶苦茶逞しいママだった事が印象深い。


話は逸れたが、何をするにも公開で…というのは難しい。
受け手の解釈で発信した情報は発信者の狙い通りに歩くとは限らない。