タンポポと老人 第3話 ≪小説≫ | ピンク色の空と白い雲と愛のない俺

ピンク色の空と白い雲と愛のない俺

もうすぐ就職活動を控える大学3年生の、自由で馬鹿な不思議なブログ

 午後17時。


バイトの終わる時間になった。


河々尾は午後5~10時の店員と交代して、コンビニを出た。



コンビニの左に家のある河々尾と、右に家のある副島君はここでお疲れ様でしたと言って別れた。



 河々尾が数歩歩くと、さっきまでしゃんと咲いていたタンポポが潰されているのに気付いた。



無残だな、と思うも、これが弱肉強食ですよ、と心の中で呟いて岐路に着いた。




 翌日の午後12時半。



河々尾は午後1時からのバイトのために、家の近くのラーメン屋でとんこつラーメンを食べていた。



食べ終わると、勘定をしてもらい店を出る。



 少し早いと思ったけれど、河々尾はコンビニに向かった。



桜が散って、道路には桜の花びらが大量に落ちている。



これも弱肉強食ですよ、と心の中で呟く。



 昨日のおばさんは桜が咲いたときも、きっと綺麗だと言ったに違いない。



まぁ、それがおばさんか。



そんなことを歩いていると、道端にタンポポが咲いているのに気付いた。



土の上だからなのか、5,6輪咲いている。



仲良く咲いているじゃないか。


 …あ、そうだ。



河々尾はその中の1厘を根本から引っこ抜いた。



引っこ抜いたといっても、タンポポの根は長いから、途中でちぎれたのだが。



 河々尾は昨日コンクリートに咲いていたタンポポとさっき引っこ抜いたタンポポを植え替えた。



 これなら、植え替えたとは誰も気付かないだろう。



昨日のおばさんも喜ぶだろうと思った。





 いつものように朝5時に起きた。



それから、いつものように猫に餌をやる。



そして、食パンをトースターで焼く。


牛乳で溶かしながら、何もつけてない食パンを食べる。

 パンの耳を猫にやろうとドアを開けたら、そこにはもう猫はいなく、空の缶詰だけが置いてあった。



愛想のない猫め。



もう餌なんかやらん。



 昨日、すっぽかしてしまった病院に今日は行かなくてはならない。



確かこの前、レントゲンを取ったっけ。



あの結果をあの若い医者…



なんて名前だったっけな?



昨日、電話に対応した…


思い出せない。



物忘れがひどくなった。



 時計を見ると、午前7時を指していた。



病院は午前10時からだから、まだ3時間もあるじゃないか。



何をしようか。



菊下はテレビをつけた。


灰汁の強いタレントが司会をやっているニュース番組。



…言いたいこと言いやがって。



こいつ、俺よりも年下じゃねぇか。


テレビに向かって愚痴る菊下。






≪出演≫



・河々尾 仁 (22)…コンビニ店員

・副島 浩輔 (19)…コンビニ店員


・菊下 昭  (72)…老人


・おばさん  (55)…花好きのおばさん


・田山 篤史 (31)…徳田総合病院の若い医者