この世界のどこにもいない
――1|浮いていた心
僕は昔から、どこか浮いていた。
いじめられていたわけじゃない。
友達もいたし、遊びの輪には入っていた。
鬼ごっこも、バスケも、放課後の笑い声もちゃんと経験してきた。
だけど、心の奥にひとつ、いつも薄い膜があった。
輪に入っていながら、どこか“内側にいない”感覚。
みんなの中にいても、自分だけ少し違う周波数で生きているような――
そんな感覚が、小さなころからずっとあった。
それがなんなのかは、長いこと分からなかった。
ただ、生きている実感のようなものが、
どこか遠くにあった。