徐々に暖かくなり、花粉が飛び始める時期になってきました。
巷では豚コレラに感染する豚が増えているようですが私達は病にならないようにしっかり体調管理、手洗いうがいを行うようにしましょう。
さて今回も肩痛が出現する疾患の紹介をしたいと思います。
今回は胸郭出口症候群の紹介です。
症状
つり革につかまる時や、物干しの時のように腕を挙げる動作で上肢のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みが生じます。
また、前腕尺側と手の小指側に沿ってうずくような、ときには刺すような痛みと、しびれ感、ビリビリ感などの感覚障害に加え、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状があります。
手指の運動障害や握力低下のある例では、手内筋の萎縮により手の甲の骨の間がへこみ、手のひらの小指側のもりあがり(小指球筋)がやせてきます。
鎖骨下動脈が圧迫されると、上肢の血行が悪くなって腕は白っぽくなり、痛みが生じます。
鎖骨下静脈が圧迫されると、手・腕は静脈血のもどりが悪くなり青紫色になります。
原因・病態
上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢と鎖骨下動脈は、
①前斜角筋と中斜角筋の間、②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりする可能性があります。
その絞扼部位によって、①斜角筋症候群、②肋鎖症候群、③小胸筋症候群(過外転症候群)と呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。
胸郭出口症候群は神経障害と血流障害による上肢痛、上肢のしびれ、頚肩腕痛を生じる疾患の一つです。
また、頚肋(けいろく)と呼ばれる先天的な肋骨の遺残物が原因となって発症することもあります。
頚肋が存在すると、腕神経叢や鎖骨下動脈がより一層圧迫を受けやすい状況になるため、胸郭出口症候群が発症します。
さらに、胸郭出口症候群は腕神経叢の障害で尺骨神経、正中神経などを損傷し肘部管症候群や手根管症候群を合併することがあります。
胸郭出口症候群は長時間、悪い姿勢で座っていたり、睡眠不足やストレスなどが重なったりすると発症しやすくなるとも考えられています。
また、なで肩であることや、重いものを持つ習慣も発症に関連します。
なので良好な姿勢を保ち、可能な限り重いものを持たないようにして、規則正しい生活スタイルを確立することが重要です。
また、お風呂などで首周りを暖めることも効果的です。