膝痛を考える 第3回目 | セントラルたなか鍼灸院

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膝痛を考える 

 

第3回目は

「膝痛に対する鍼灸治療」

 

当院の鍼灸治療を実際の流れに沿ってお伝えします。

 

患者さんが来院されたら、

その歩行状態を確認します。

場合によっては普段履きなれた靴をチェックしたりします。

これにより姿勢の保持の仕方や加重状態がわかり、上半身や下半身の筋バランスを予測します。

また、別の部位への代償性負担を予測します。

 

次に患者さんから症状に対する情報を問診にて生の訴えを伺います。

膝痛の経緯▶︎急性 or 慢性なのか、症状の経緯・経過を把握します。

整形外科や他の医療機関の受診▶︎治療内容で医師や施術者の治療目的がわかります。

痛みの部位・範囲▶︎必要な検査の選択や損傷部位の特定に役立ちます。

誘発動作の確認▶︎必要な検査の選択や損傷部位の特定に役立ちます。

症状の寛解・増悪条件▶︎血流状態を把握します。

生活動作▶︎日常のどんな時に痛みや不自由を感じているのかを把握します。

過去の既往▶︎過去の症状が関係していることもあります。

その他必要に応じて伺います。

 

次は所見をとり、患者さんの訴えに対して整合性を図ります。

アライメントチェック▶︎患部の歪みや他の部位からの影響を把握します。

触診▶︎圧痛、寒熱、皮膚状態を把握します。

筋肉の状態▶︎筋肉の柔軟性や萎縮、バランスを把握します。

経絡反応▶︎弱くなった経絡や強すぎる経絡、またツボの反応を把握します。

必要に応じて理学的検査▶︎損傷部位の特定に参考になります。

可動域をチェック▶︎誘発痛、関節周囲の軟部組織の状態を把握します。

その他の関節の動きをチェック▶︎特に腰、股関節、足関節等の動きを把握します。

 

患者さんから聴取した所見と施術者側が得た所見を総合的な判断のもと病態を把握します。その際、患者さんに納得していただける説明と患者さんが抱える痛みや苦痛、不安を共有できるレベルの病態把握を求めるようにしています。

患者さんの訴えに対し整合性がある結論に至るように努め、矛盾がある場合は問診と所見の見直しを行います。

 

病態把握ができたら、治療プランを定めます。

この時、症状を改善させる上で取得した所見の中から最も重要な所見にアプローチするよう治療プランを構築して評価して行きます。

 

ようやく鍼灸治療のお話に入ります。

膝痛に対する鍼灸治療の基本は、腰部からのアプローチになります。

これは下肢への血流を確保することが狙いの一つにあります。

この基本的なアプローチの上

・膝への局所治療

・アライメント調整

・経絡調整(経筋治療も含む)

・自律神経調整

・手技・運動療法(セルフも含む)

を改善すべき所見に合わせて施術を行います。

 

 

〈鍼刺状態〉

 

〈更に温灸を追加〉

 

 

 

 

 

ここで大切なことは、膝痛治療に限らず全ての症状において、鍼灸治療は患者さん自らが自覚する症状を治していくように仕向けていくことが症状改善の最短へと繋がるのです。

 

施術が終われば、その効果を確認します。

施術直後の著明な効果にはあまりこだわらず評価しています。(著効変化は元に戻りやすいものですむしろ改善していただくための所見の変化が大切で、その変化が症状改善に繋がるのかを追求することを重視しています。

要するに、次回治療時の所見の変化が最も重要なのです。

 

当院では、一日でも早い改善を期待されている患者さんの気持ちは十分理解していますが、段階的な改善を重視するため(この改善のプロセスが最も症状の戻りや悪化が少ない)、劇的な改善は求めていません。

とは言っても結果として著明な効果をもたらすこともありますが・・・。

 

治療後の所見変化の確認が済んだら次回治療方針の説明と次回治療日の提案をさせていただき終了となります。

 

膝に対する鍼灸治療は、外傷等による軟部組織性(筋肉や腱、靭帯)の急性症状は比較的早く治る傾向にありますが、関節の中のトラブルや骨折、変形性膝関節症のような長い年月をかけて形成された膝痛は根気よく治していただくことになります。また膝の手術後の予後治療にも鍼灸治療は役立ちます。良くなってからも定期的にメンテナンス治療を受けていただくことをお勧めします。

 

次回は膝痛と鍼灸治療に対して、もう少し突っ込んだお話をお伝えします。

 

 

膝の痛みでお悩みなら気軽にご相談下さい。

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