抗精神薬に完全を求めない | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

私が一般棟に配属になってから、時々重度BPSDがある利用者が入所される事が増えました。
私としたら重度であろうが軽度であろうが別に大きな問題は無いのですが、他の職員からすると困った存在なようです。



そんな訳で医師から抗神経病薬や抑肝散など処方されるのですが、職員の間では全く効果が見られない…… 興奮状態は改善しないといつも問題になっています。

また睡眠障害があり夜中まったく寝ない利用者もいます。
そのため睡眠導入剤を処方されていますが、これまた全く効果ない……


実際介護現場の間では抗神経病薬は効果が無いと言われ続けています。
副作用の影響で余計職員に負担がかかるものと認識している職員もいるくらいですから。
実際私もつい最近までは同じように考えていました。


ただ最近は私の考えも少し変わってきたんです。
一般棟に配属になり、夜間のセンサー対応の頻度も減って、一人の利用者に時間をかけて対応できるようになりました。
認知症棟時代は数分単位でセンサーが反応してましたからね〜。
一般棟では1時間以上コールがならないことなんてざらにありますから。


そこでゆっくり行動を観察すると確かに薬の効果があるのかなぁ?とか、確かに眠そうな気配があるなぁ〜など冷静に観察すると見えてきたのです。
認知症棟時代には気づかない発見でしたね。
余りにも次から次へとセンサーが反応するため、精神的に余裕なんて無かったですから。


そこで時間が許されるなら、別に特別なことはしなくても良いので
そっとベットの傍に座って過ごしたり、世間話をしたりしていると、いつの間にかすんなり寝てくれたり暴言が無くなったりするんです。
考えると薬を飲んでいなかった時と比べれば大きな変化です。




ただ抗精神病薬を服用しているからといって症状は完全に治った訳ではありません。正直に言うと若干の変化です。

我々って薬を飲めば完全を求めてしまうんでしょうね。
薬を飲めばBPSDは改善するって………
でもそれって無理なんでしょう。
明らかに脳の器質的変化はすすみ認知症は進行しているのですから。
薬を飲めば明日から我々と同じ健常でいられるという誤解があるんだと思います。


BPSDを多少なりとも改善できる薬はあるかも知れないが、完全では無いという認識は必要なんでしょう。
その先の症状の緩和は関わる職員の対応次第なんです。


でも実際これが難しいんですけど。職員の考えはなかなか変わりませんから。
ある意味、認知症の対応の方が私にとって気持ち的に楽です。
(^◇^;)