10年以上経ちますが転倒事故は防げない。 | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

転倒事故は完全には防げない……………


一時期自分のフロアでは絶対転倒事故は起こさせないと息巻いていた時代がありました。

転倒事故やリスクマネジメントに関する外部研修に出かけたり、事故委員会で委員長を務めたり転倒に関する事故防止に全力を尽くした時のことを思い出します。

勿論今でも転倒事故に関する活動は続けていますが10年以上経過しても転倒事故は一向に減る兆しはありません。



完全に転倒事故は防げない。


本当に転倒事故を防ぐとしたら拘束するしかないでしょうね。

特に認知症棟では待ったがききません…
センサーが反応し居室に行ったら既に転んでいたなんて日常的ですから。





最近では私の考え方も変わり、転倒することはあっても如何に大きな怪我に繋がらないようにと考えるようになりました。


以前転倒事故を防ぐ事を第一としたために、他の職員がスピーチロックや拘束を行うことが増えてしまいました。

誰もが事故は起こしたくない…

転倒事故を防ぐことが第一としたことで逆に悪い方向へと繋がってしまったのです。

一旦このような習慣がついてしまうと元に戻すことは大変でしたね……………
(今はスピーチロックも拘束も無くなりました)


勿論私だって未だに転用事故を防ぎたい気持ちはありますが、最近は転倒してもしょうがないと思う気持ちが大きくなっています。

スピーチロックや拘束をするくらいなら本人の思うようにしてあげたほうが良いと思うし、人の自由を奪うのなんて介護ではないと思っています。

だからと言って転倒リスクの高い利用者に毎回付き添うことも強要もしません。

ロックを掛けずに拘束もしないのであるならば転倒を防ぐために付き添うことが主となるでしょうけど、これからもずっと続く介護であるならば全ての利用者に付き添うなんて到底無理です。

ずっと付き添うことにより仮に転倒は防げても職員のメンタルが維持できませんから…



日本の介護は安全が全てと考える風潮があります。
勿論それは基本的な理念なんだろうけど、普通に生活している我々だって完全な安全なんてありえません。



大切な家族を預けている人たちが、安全を訴えるのは当たり前かもしれませんが、介護職員が100%の安全を目指したら利用者の人権にかかわるとつくずく感じました。





事故対策・リスクマネジメント非常に大切です。
利用者の安全を守り、尚且つ職員の身を守る為にはこれらは切っても切り離せません。


最近は転倒事故に関して過剰に考えるなと職員には言っています。



しかしそうは言っても誰もが転倒事故は起こさせたくないでしょうね……………
それが本音でしょう。







因みにご家族からの苦情を恐れて転倒を防ごうなんて全く思っていません。それは私も他の職員も同じでしょう。
それを考えるなら介護なんて辞めた方が良いから。

あくまでも利用者が安全かつ有意義な生活がおくれるように望んでいるから、せめて転倒事故だけは起こしたくないと思うんでしょうね。

幸いにも職員の気持ちがご家族にも理解され苦情があったことは全くと言って良いほどうちの施設ではありません。