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ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

過去と現在の洋楽シーンをチャートデータをもとに紹介するページ(週一更新予定)

Brian Wilsonが亡くなりました。

 

2004年に書いた『Smile』の記事を再録して、ご冥福をお祈りいたします。

 

 「Smile」伝説って知っていますか?。37年前の話なので、リアルタイム経験者ではないですけど、自分は名盤を漁っていた10数年前に知りました。

「Pet Sounds」(Beach Boys)や「SGT Peppers Lonely Hearts Club Band」(Beatles)を凌ぐ名盤がこの世に存在するという話。それは完成することなく葬り去られた幻の名盤。「Smile」。

Beach BoysとBeatlesがポップスの頂点を争っていた今から40年ほど前の話です。創造力のピークにあった両者(一方はBrian Wilsonですが)は互いに刺激しあいながらロックの歴史を塗り替える名盤を次々と生み出します。Beatlesの「Rubber Soul」に刺激を受けたBrian Wilsonが作り上げたのがポップスのマスターピース「Pet Sounds」です。その「Pet Sounds」に刺激を受けたPaul McCartneyが作り上げたもの、それが現在ロックで最高傑作と呼ばれている「SGT Peppers Lonely Hearts Club Band」でした。しかしその頃Brian Wilsonも「Pet Sounds」を凌ぐ傑作を製作していました。あまりに壮大で現実離れしたプロジェクトであったため困難を極めたそんな時、Brian Wilsonはライバルが作った「SGT」を聴いてしまいます。ますますプレッシャーのかかった状態に陥ったBrian Wilsonは結局「Smile」を完成することができませんでした。

しかし実際には「Smile」はある程度完成していました(今回の「Smile」の楽曲の殆どはこの当時に作られていたものです。)。そんな「Smile」の断片が次々に明らかになるにつれ、それが名盤であったことが明らかになり、ついには幻の名盤と呼ばれるようになったわけです。

アルバムはアメリカの歴史を綴った壮大なポップスシンフォニーです。中には「地」「水」「風」「火」と地球上の元素を歌ったものもあります。「SGT」のようなトータルアルバムの構造を持ちながら、「Americana」「Father Is Child Of The Man」「The Elements」という3曲の組曲による構造を持ちます。さらに視覚に訴える最新の音響効果を使っています。

アルバムはほとんど完璧に近い構成を持ちますが、特に2部の「Father Is Child Of The Man」の美しさはロック史上でも屈指のものではないかと思います。今回作られた「Smile」があのころの「Smile」そのものであるか別にして、こうして実際に聞いてみると、今でも全く色褪せない実に完成度の高い創造力あふれる傑作であることがわかります。もし、、これに近いものが66年の当時に出ていたらBeatlesとBeach Boysの立場は逆転していたかもしれないし、ロックの歴史も変わっていたかもしれません。

★★★★★

 

 

Billboard Chart 6/7

Single Chart

 

1(4) : Ordinary / Alex Warren
2(1) : What I Want / Morgan Wallen f.Tate McRae
3(2) : Just In Case / Morgan Wallen
4(3) : I'm The Problem / Morgan Wallen
5(5) : Luther / Kendrick Lamar & Sza
6(9) : A Bar Song (Tipsy) / Shaboozey
7(6) : Die With A Smile / Lady Gaga & Bruno Mars
8(11) : Lose Control / Teddy Swims 
9(12) : Nokia / Drake
10(14) : Beautiful Things / Benson Boone

カリフォルニア州Carlsbad出身のシンガーソングライターAlex Warrenの「Ordinary」が初の全米1位に輝きました。人生を特別なものにする誰かを愛する気持ちを歌ったパワーバラードで、バックの壮大なコーラスが感動的です。PVにはAlex Warrenの妻Kouvr Annnonも登場しています。既にヨーロッパでは大ヒットしていて、全英チャートでは6月7日現在で12週の1位を記録しています。特にStreamingsが好調で、今週のStreamingsは21Mで6位から4位に、Digital Salesは8,000回で1位、Radio Airplayは43.5Mで7位から5位に上がっています。


Ordinary / Alex Warren

18(18) : Mutt / Leon Thomas
19(23) : All The Way / Bigxthaplug f.Bailey Zimmerman
24(26) : Blue Strips / Jessie Murph
25(39) : Sports Car / Tate McRae
26(35) : Worst Way / Riley Green
29(49) : Undressed / Sombr *
30(38) : Sorry I'm Here For Someone Else / Benson Boone
32(-) : Bloodline / Alex Warren f.Jelly Roll
34(44) : Were'nt For The Wind / Ella Langley *
36(62) : Back To Friend / Sombr
37(59) : Love Me Not / Ravye Lenae
38(47) : TV Off / Kendrick Lamar *
39(43) : No One Noticed / The Marias *
40(56) : Am I Okay? / Megan Moroney *
* Top40再登場

初のTop40入りは3曲ありました。
 

32位には今週1位を獲得したAlex WarrenとカントリーシンガーJelly Rollとのコラボ曲で、既に全英チャートではTop10に入っています。躍動感のあるカントリーチックな曲で、PVも含めて勢いがあります。


Bloodline / Alex Warren f.Jelly Roll

36位にはニューヨーク出身のシンガーソングライターShane BooseことSombrの「Back To Friend」が入りました。もともとこちらの曲がロングヒットを続けていましたが、「Undressed」のヒットから、こちらもTop40入りとなりました。


Back To Friend / Sombr

37位にはアメリカはイリノイ州シカゴ出身のシンガーソングライターRavyn Lenaeの「Love Me Not」が入っています。レトロな感じたっぷりのロックナンバーで、2024年発売ながらRex Orange Countyとのコラボがリリースされたりとじわじわと人気が上昇していて、全英チャートでは現在2位と好調です。


Love Me Not / Ravyn Lenae

Streamings Songs #1 : What I Want / Morgan Wallen f.Tate Mcrae
Digital Sales #1 : Ordinary / Alex Warren 8,000
Radio Airplay #1 : Anxiety / Doechii

Album Chart (Units/Sales)
 

1(1) : I'm The Problem / Morgan Wallen 286,000/28,000
2(2) : SOS / Sza 47,000/?
3(5) : GNX / Kendrick Lamar 42,000/?
4(4) : One Thing At A Time / Morgan Wallen 42,000/?
5(18) : Music / Playboi Carti 41,000/?
6(7) : Short N' Sweet / Sabrina Carpenter 36,000/?
7(8) : Somesexysongs 4 U / Partynextdoor & Drake 36,000/?
8(9) : Debi Tirar Mas Fotos / Bad Bunny 35,000/?
9(11) : Hit Me Hard And Soft / Billie Eilish 31,000/?
10(12) : Dangerous The Double Album / Morgan Wallen 30,000/?

24(-) : Music For People Who Believe In Love / Joe Jonas

Morgan Wallenの『I'm The Problem』が2週目の1位を獲得しています。
 

UK Chart 6/6

Single Chart


1(1) : Ordinary / Alex Warren (12 Weeks)
2(3) : Love Me Not / Ravyn Lenae
3(2) : Pink Pony Club / Chappell Roan
4(4) : Undressed / Sombr
5(6) : Family Matters / Skye Newman
6(-) : Just Keep Watching / Tate McRae
7(7) : Blessing / Calvin Harris ,Douglas
8(8) : Azizam / Ed Sheeran
9(11) : Back To Friends / Sombr
10(9) : Bloodline / Alex Warren f. Jelly Roll

Alex Warren の「Ordinary」が12週目の1位を獲得しています。アメリカ出身のアーチストとしては1955年のSlim Whitmanの「Rose Marie」の11週間を抜く新記録となりました。

6位にはカナダはカルガリー出身のシンガーソングライターTate McRaeの「Just Keep Watching」が入っています。映画『F1 The Album』サントラからのカットで、作曲プロデューサーにはRyan Tedderがクレジットされています。このPVがインパクトあります。


Just Keep Watching / Tate McRae

Album Chart
 

1(3) : +-=÷×Tour Collection / Ed Sheeran
2(1) : Short N' Sweet / Sabrina Carpenter
3(-) : Something Beautiful / Miley Cyrus
4(6) : 50 Years Don't Stop / Fleetwood Mac
5(9) : The Highlights / The Weeknd
6(5) : So Close To What / Tate McRae
7(70) : Reputation / Taylor Swift
8(12) : Diamonds / Elton John
9(17) : ABBA Gold / ABBA
10(10) : I'm The Promblem / Morgan Wallen

24(-) : Let All That We Imagine Be The Light / Garbage
27(-) : Get Sunk / Matt Berninger

Ed Sheeranのベストアルバム『+-=÷×Tour Collection』が1位に輝きました。

3位にはテネシー州Franklin出身のシンガーソングライターMiley Cyrusの9枚目のアルバム『Something Beautiful』が入りました。前作では「Flowers」の大ヒットが記憶に新しいところですが、このアルバムは同名のミュージカル映画が公開予定になっていて、人生の暗い時期からの美しい何かを見いだしたことがテーマになっています。「Easy Lover」や「End Of The World」がカットされています。
 

End Of The World / Miley Cyrus

7位にTaylor Swiftの2017年のアルバム『Reputation』が急上昇しています。5月30日にTaylor Swiftが最初の6枚のアルバムのマスター音源を買い戻したという発表がありました。最初の6枚のうち、『Taylor Swift』と『Reputation』はTaylor's Versionが作られていませんでしたが、このニュースによりTaylor's Versionが作られる必要がなくなったため、オリジナルの『Reputation』のStreamings再生数が増えています。この現象は来週の全米チャートにおいても展開すると予想されています。