■ Yes,And? / Ariana Grande (1/27) 1 Week
アメリカはフロリダ州Boca Raton出身のシンガーソングライターAriana Grandeの通算8曲目となる全米1位曲。アルバム『Eternal Sunshine』からの先行シングルとしてカットされて、1月27日付けで1週間1位を記録しました。1位獲得週はStreamingsが27.2Mで1位、Digital Salesが4,1000回で1位、Radio Airplayは24.8Mで28位でした。
Madonnaの「Vogue」を彷彿とさせる90年代初頭を意識したダンストラックで、PVはPaula Abdulの「Cold Hearted」に似ています。ポジティブなメッセージを込めたエンパワーな曲で、作曲にはヒットメイカーのMax Martinがクレジットされています。Max Martinにとっては歴代2位タイとなる26曲目の全米1位曲の作曲となりました。
■ Hiss / Megan Thee Stallion(2/10) 1 Week
アメリカはテキサス州San Antonio出身のラッパーMegan Thee Stallionの通算3曲目となる全米1位曲。Meganは1501 Certified Entertainmentレーベルと3年法廷闘争を続け、2023年10月19日に和解。その後独立レーベルHot Girl Productionを設立して2曲目のシングルがこの曲で、2月10日付けで1週間1位を記録しました。1位獲得週はStreamingsが29.2Mで1位、Digital Salesが104,000回で1位、Radio Airplayは2.9Mでした。
曲は同じ女性ラッパーで共演もしたことがあるNicki Minajに対するディスソングで、Nicki Minajが結婚したKenneth Pettyの兄Jelani Marajが性犯罪者として登録されていることに言及しています。同じ週にはNicki Minaj側のアンサーソング「Big Foot」も23位のヒットを記録していて、2020年にMegan Thee Stallionが足を打たれた事件を揶揄しています。
■ Texas Hold'em / Beyonce (3/2~3/9) 2 Weeks
アメリカはテキサス州Houston出身のシンガーソングライターBeyonceの通算9曲目となる全米1位曲。アルバム『Cowboy Carter』からのシングルで、3月2日から3月9日付けで2週間1位を記録しました。1位獲得週はStreamingsが29Mで1位、Digital Salesが29,000回で1位、Radio Airplayは16.1Mで43位登場でした。
ポーカーゲームからタイトルがつけられた「Texas Hold'em」はR&Bアーチスト側からカントリーにアプローチをしたもので、バンジョーのメロディとサビの「ホウ」というかけ声に、Destiny's Childからの特長であるバックのハーモニーが絡みます。Beyonceはもともとテキサス州の生まれで、テキサスカウボーイの伝統やZydeco音楽に影響を受けていて、これまでも南部地方の自分のルーツについては音楽の中で触れていました。そしてこのアルバムがリリースされたことで、この後、アルバムに参加していたShaboozeyの大ヒットを生み出すことになります。
■ Carnival / ¥$(Kanye West & Ty Dolla Sign f.Rich The Kid & Platyboi Carti) 3/16 1 Week
アメリカはジョージア州アトランタ出身のラッパーKanye Westとアメリカはカリフォルニア州ロサンゼルス出身のラッパーTy Dolla Signによるユニット¥$によるアルバム『Vulture 1』からのシングルで、3月16日に1週間1位を記録しました。Kanye Westにとっては通算5曲目の全米1位、Ty Dolla SignにとってはPost Maloneとの「Psycho」以来となる2曲目の全米1位獲得でした。1位獲得週はStreamingsが33.7Mで1位、Digital Salesが3,000回で13位、Radio Airplayが3.9Mでした。
「オーオー」というチャント、「ゴーゴー」というサビはまるでサッカーの応援のような高揚感がある曲で、Kanye West自身の『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』収録「Hell Of Life」がサンプリングされていています。
■ We Can't Be Friends (Wait For Your Love) / Ariana Grande 3/23 1 Week
アメリカはフロリダ州Boca Raton出身のシンガーソングライターAriana Grandeの通算9曲目となる全米1位曲で、アルバム『Eternal Sunshine』が発売された3月23日付けで1週間1位を記録しました。1位獲得週はStreamingsが32.6Mで1位、Digital Salesが9,000回で4位、Radio Airplayは4.6Mでした。
Taylor Swiftの曲を思わせるシンセサイザーを使ったポップサウンドで、明るく開放的なメロディと切ない歌詞が魅力的です。作曲プロデュースにはMax Martinがクレジットされています。Max Martinにとっては作曲で27曲目の全米1位、プロデュースとしては25曲目の全米1位獲得となりました。
■ Lose Control / Teddy Swims 3/30 1 Week
アメリカはジョージア州Conyers出身のソウルシンガーTeddy Swimsの初の全米1位獲得曲。もともと2023年の6月に発売されたデビューアルバム『I've Trid But Therapy Part 1』からシングルカットされたもので、2023年8月26日付けで99位で登場。11月25日付けでTop40に入り、2024年に入るとじわじわ上昇をして、3月30日に32週目にして全米1位を1週間記録しました。1位獲得週はStreamingsは23.2Mで4位、Digital Salesは8,000回で6位、Radio Airplayは59.1Mで3位でした。
恋することの中毒について歌われていて、Teddy Swimsのしわがれた哀愁あるボーカルがメロディとマッチして味わいがあります。流行とは関係なくいつの時代でもヒットしそうなスタンダードな名曲という感じで、これが2024年のクリスマスシーズンまでロングヒットとなり、2024年の年間シングル1位を記録しています。
■ Like That / Future,Metro Boomin & Kendrick Lamar (4/6~4/20) 3 Weeks
アメリカはジョージア州アトランタのラッパーFutureとミシシッピ州St.Louis出身のプロデューサー、ラッパーのMetro Boominが組んだアルバム『We Don't Trust You』からのシングルで、4月6日から4月20日付けで3週間1位を記録しています。Futureにとっては3曲目の全米1位で、フューチャリングされたKendrick Lamarにとっても3曲目の全米1位となっています。1位獲得週はStreamingsが59.6Mで1位、Digital Salesが9,000回で2位、Radio Airplayが5.6Mでした。
FutureとMetro BoominはFutureの大ヒット「Mask Off」で組んでいたコンビで、このRemixにKendrick Lamarが参加していました。曲はKendrick LamarのパートでDrakeの全米1位曲「First Person Shooter」(DrakeとJ.Cole)に言及していて、ここから激しいディス合戦が繰り広げられました。
■ Too Sweet / Hozier (4/27) 1 Week
アイルランドはBray出身のシンガーソングライターHozierの初の全米1位獲得曲で、4月27日付けで1週間1位を記録しています。アイルランド出身による全米1位獲得はGilbert O'Sulivan、U2、Sinead O'Connornに続く4アーチスト目。1位獲得週はStreamingsが35.6Mで1位、Digital Salesが6,000回で3位、Radio Airplayが14.1Mでした。
2013年に「Take Me To Church」が全米2位を記録したことで知られていたHozierはライブの人気もありシングルヒットと関係なくアルバムは大ヒットを記録していました。その中でリリースされたこの曲は軽快なベースのリズムとソウルフルなメロディによるラジオフレンドリーな曲で大ヒット。「暴食」をテーマにしたシニカルな曲で、2024年の印象的なヒットとなりました。
■ Fortnight / Taylor Swift f.Post Malone (5/4~5/11) 2 Weeks
アメリカはペンシルバニア州West Reading出身のシンガーソングライターTaylor Swiftの12曲目の全米1位曲。Taylor Swiftは2022年『Midnights』の大ヒット、Eras Tourと勢いがありましたが、アルバム『The Tortured Poets Department』は歴代2位、Taylor Swiftとしては最大となる2,610,000 Unitsの初動を記録し、収録曲は1位から14位まで全てと、Top40の中に合計26曲が入るなどチャートを席巻しました。1位獲得週はStreamingsが76.2Mで1位、Digital Salesが19,000回で1位、Radio Airplayは31.1Mで14位登場でした。
Taylor SwiftとPost Maloneという意外な組み合わせが話題でしたが、曲はPost Maloneとのハーモニーが美しく、PVではPost Maloneのような入れ墨が入るTaylor Swiftも見ることができます。アルバム『The Tortured Poets Department』は2025年1月現在で17週間の1位とTaylor Swiftにとって最大のヒットとなっています。
■ Not Like This / Kendrick Lamar (5/18,7/20) 2 Weeks
アメリカはカリフォルニア州Compton出身のラッパーKendrick Lamarの通算4曲目の全米1位曲。FutureとMetro Boominの「Like That」後もDrakeに対する攻撃が続き、Kendrick Lamarは立て続けにリースしていきます。その中で「Not Like This」がブレイクして5月18日と7月20日付けで2週間全米1位を獲得しました。1位獲得週はStreamingsが70.9Mで1位、Digital Salesが1,500回、Radio Airplayが5Mでした。
西海岸のラップに影響を受けたEminemを彷彿とさせる軽快なメロディに乗せたナンバーで、バックには管弦楽器のメロディがループしています。Mustardがプロデュースしていて、このMustardも後の曲「TV Off」では「マスタード」というかけ声がバズって大ヒット。曲はDrakeの性犯罪疑惑について歌っていて、シングルジャケットには大使館の俯瞰図に性犯罪者の登録を象徴する13個の赤いマーカーが置かれています。曲の最後にはDrakeのレーベルOVOがコール&レスポンスで歌われ、PVの最後にはOVOレーベルのキャラクターのフクロウで締められています。
■ I Had Some Help / Post Malone f.Morgan Wallen (5/25~6/22,7/6) 6 Weeks
アメリカはニューヨーク州Syacuse出身のシンガーソングライターPost Maloneのカントリーアルバム『F-1 Trillion』からの先行シングルで、5月25日から6月22日、7月6日の合計6週間1位に輝いています。人気カントリーシンガーMorgan Wallenとのコラボということで話題となり、1位獲得週はStreamingsが74.6Mで1位、Digital Salesが69,000回で1位、Radio Airplayが31.1Mで15位でした。Post Maloneにとって6曲目の全米1位、Morgan Wallenにとって2曲目の全米1位でした。
Post Maloneはヒップホップでブレイクしたアーチストですが、「Circles」のようなロックヒットもあり、幅の広い音楽性がありました。この曲も違和感なくMorgan Wallenと軽快なやりとりのあるカントリーソングとなっており、サビメロはPost Maloneらしいドライブ感のあるメロディアスで印象的なものになっています。
■ Please Please Please / Sabrina Carpenter (6/29) 1 Week
アメリカはペンシルバニア州Quaketown出身の女優、シンガーソングライターSabrina Carpenterの初の全米1位曲。2023年末から「Feather」が全米21位のヒットをして勢いがあったところに、アルバム『Short N' Sweet』から先行カットされた「Espresso」が全米3位を含む世界中で大ヒット。そして2ndカットとなった「Please Please Please」が6月29日付けで1週間1位を記録しました。1位獲得週はStreamingsが50.9Mで1位、Digital Salesが7,000回で7位、Radio Airplayは3.2Mでした。
80年代のロックのようなシンセサイザーのキラキラとした音色のポップナンバーで、伸びやかなサビメロは70年代のOlivia Newton Johnのようなカントリーっぽさも感じさせます。イントロのメロディはPink Flyodの「Another Brick In The Wall」からの引用で、全体的に上手くポップソングにまとめられています。全米チャートでは「Espresso」「Please Please Please」「Taste」の3曲がTop10に居座るなどのブレイクでしたが、全英ではこの3曲がいずれも1位となって、合計21週間の1位を記録しています。
■ A Bar Song (Tipsy) / Shaboozey (7/13,7/27~10/26,11/9~11/30) 19 Weeks
アメリカはバージニア州Woodbridge出身のラッパー、シンガーソングライターShaboozeyの初の全米1位曲。Beyonceの『Cowboy Carter』で注目を集め、R&Bアーチストによるカントリーヒットが続く中で人気が出て、7月13日から不連続ながら11月30日まで19週間全米1位を記録しました。19週間はLil Nas XとBilly Ray Cyrusの「Old Town Road」に並ぶ歴代1位の記録でした。1位獲得週はStreamingsが44.8Mで1位、Digital Saleが23,000回で1位、Radio Airplayは60Mで4位でした。Radio Airplayは2025年1月11日までに23週間1位を記録しています。
歌い方にラップぽさもあるカントリー曲で、J-Kwonの2004年のカントリー曲「Tipsy」を挿入しています。仕事につかれた人間がバーで酒を飲んで楽しんでという曲で、サビは子どもの数え歌のような親しみやすさが大ヒットを生みました。
■ Love Somebody / Morgan Wallen 11/2 1 Week
アメリカはテネシー州Sneedville出身のカントリーシンガーMorgan Wallenの来るべき4枚目のアルバムからの先行シングルで、11月30日に1週間1位を記録しています。Morgan Wallenにとっては通算3曲目の全米1位曲となりました。1位獲得週はStreamingsが31.1Mで1位、Digital Salesが17,000回で1位、Radio Airplayが15.2Mで42位登場でした。
Morgan Wallenのアルバムがロングセラーを続ける中で、その期待感が反映したヒットで、歌い方はちょっと早口なラップっぽいですが、メロディは切ないロックのメロディで、80年代に聞いたような懐かしさがあります。
■ Squabble Up / Kendrick Lamar 12/7 1 Week
アメリカはカリフォルニア州Compton出身のラッパーKendrick Lamarの通算5曲目の全米1位曲。全米1位を獲得した「Not Like Us」のPVの最初にこの曲が流れていて、期待感があったところで、アルバム『GNX』がサプライズでリリースされ、耳なじみのあったこの曲が12月7日付けで1週間1位を記録しています。Kendrick Lamarの勢いは凄まじく、ラッパーとしては珍しくTop10内で1位から5位まで、そして7曲がTop10入り。しかも「TV Off」と「Luther」はリリースから1ヶ月をたっても強いStreamingを記録しています。この曲の1位獲得週はStreamingsが52Mで1位、Digital Salesが5,000回、Radio Airplayが5.7Mでした。
90年代のG Funkの要素を持ったポップなラップソングで、Debbie Debの「When I Hear Music」のベースラインがサンプリングされています。「Not Like Us」のポップな部分はこのシングルでもそのままに、しかし歌詞は相変わらず攻撃的で「Squabble Up」(口論)しています。