Let's Start Here / Lil Yachty | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

過去と現在の洋楽シーンをチャートデータをもとに紹介するページ(週一更新予定)

Let's Start Here / Lil Yachty (2023)

 

 

毎週のように大量に出てくるラップアルバムの中で、惹かれるものは少ないのですが、このLil Yachtyのアルバムには完全にハマってしまいました。2月の段階ですが、これが今年のマイベスト1位になってもおかしくないと思っています。

Lil Yachtyはジョージア州Mableton出身のラッパーで、いわゆるサウスラッパーです。2017年に『Teenage Emotions』が全米5位、2ndアルバム『Lil Boat 2』が全米2位に入るなど全米では人気のあるラッパーです。2022年に「Poland」が全米40位を記録していますが、それ以外には2016年にはDram f. Lil Yachty「Broccoli」が全米5位、Kyle f.Lil Yachty「iSpy」が全米4位のヒットで知られています。ちなみにYachtyという名前はアーティスト名がLil Boatというように海の乗り物ヨットから来ています。

さて今回のアルバム。ジャケットもラッパーらしからぬもので、何かの写真の人物の口元に笑顔が合成されている気持ちの悪いものです。そしてアルバムは1曲目からビックリするほどのプログレッシブロックなもので、はっきり言えば、Pink Flyodの『狂気』の影響を感じさせます。アルバムは流れがよく、どの曲も素晴らしいもので、最後は薄気味の悪い笑い声がフューチャーされた「Reach The Sunshine」で終わります。トラップのラップですが、ほぼプログレロックアルバムと言っていいほどのもので、メディアの評価は今の所微妙ですが、間違いなく今年の名盤と断言します。


トラックリスト
 

1: the BLACK seminole
2: the ride-
3: running out of time
4: pRETTy
5: :(failure(:
6: THE zone~
7: WE SAW THE SUN!
8: drive ME crazy!
9: IVE OFFICIALLY LOST ViSiON!!!!
10: sAy sOMETHINg
11: paint THE sky
12: sHouLd i B?
13: The Alchemist
14: REACH THE SUNSHINE
 

論より証拠ということで5曲ばかり紹介。

The Black Seminole / Lil Yachty (1曲目)
 

 

まずは1曲目の「The Black Seminole」ですが、シンセサイザーの音から始まって、このイントロは最後の曲のアウトロにもなっています。Travis ScottかFutureという感じのトラップですが、バックのノリノリのギターがカッコイイナンバーです。後半はスキャットがフューチャーされるあたりは「狂気」的。

Running Out Of Time / Lil Yachty (3曲目)
 

 

ロック・ポップ的にシングルヒットしそうな曲。1曲目から3曲目までの流れも良い感じです。

The Zone / Lil Yachty (6曲目)
 

 

ロックとしても良い感じのナンバーですが、この曲と次の曲が一つ目の山を形成しています。そして流れるように次の曲に入っていきます。

Drive Me Crazy / Lil Yachty(8曲目)
 

 

軽快なAORという感じのメロディが心地良いナンバー。最初が女性vo、次がLil Yachtyですが、ボーカルに絡むバックのストリングスが素晴らしい。

Say Something / Lil Yachty (10曲目)
 

 

Lil Uzi Vertのようなエモなラップが印象的なナンバー。

ということで今はStreamingsしかないですが、是非ともパッケージで欲しい1枚。ラップというよりロック好きにお勧めの1枚です。