Day/Night / Parcels (21) | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

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Day/Night / Parcels (21)



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 オーストラリアはバイロンベイで結成され、現在はドイツはベルリンを拠点に活動している5人組エレクトロファンクバンドParcelsの2枚目のアルバムです。2017年にDaft Punkがシングル「Overnight」をプロデュースしたことからも注目を集め、Daft Punkライクなデビューアルバム『Parcels』は一部で注目を集めました。



 この2枚目のアルバムは『Day』と『Night』の2枚組アルバムで、タイトル通りに華やかな昼間の日常溢れる『Day』と、心の闇までも描いた『Night』という対照的な構成によるトータルアルバムという意欲作になっています。アルバムは本国オーストラリアで30位、ドイツで19位を記録しました。前作はDaft Punkの「Get Lucky」のようなカッティグギターのリズムサウンドが印象に残りましたが、今回は音の幅が広がって、メンバーの演奏を前面に押し出したようなフュージョンサウンドも展開しています。


 『Day』は朝の陽ざしのようなストリングスのメロディから始まり、各メンバーのソロが次々と展開するオープニングトラック「Light」の入りかたが最高です。PVが作られた「Free」はEarth Wind & Fireのような軽やかなサウンド、続く「Comingback」はStyle Councilの「My Ever Changing Moods」を思い出しました。後半にはフュージョンサウンド「Daywalk」を挟んでエンディング「Outside」まで完璧な作りになっています。


 『Night』は徐々に夜が更けていくストリングスのメロディ「Shadow」から始まりますが、さりげなく「Light」のメロディが織り込まれています。続く「Neverloved」はAORロックテイストなナンバーで、70年代後半のGino Vannelliあたりを彷彿とさせます。続く「Famous」はまるで70年代Bee Geesのようなディスコサウンド。このアルバムで最も華やかな曲ですが、終わり方がちょっと癖があります。「I Call This Home」という穏やかなインタールードを挟んで、軽やかなディスコサウンドとBeatlesのようなサウンドが交互に訪れる「Lord Henry」が続きます。この曲あたりからバックにストリングスの不協和音が流れて闇を感じさせる演出が入っていきますが、それは「The Fear」「Night Walk」と続いていき、曲調も徐々に闇の中に入っていきます。8曲目の「Reflex」から再び明るさを取り戻し、朝日を感じさせる9曲目「Once」はストリングスをバックに牧歌的なナンバーでエンディングを迎えます。10曲目ラストのインストゥルメンタル「Inside」は映画のエンドクレジットのような趣です。


 曲はそれぞれキャッチーなメロディと独特の癖のある展開があり、曲のつながりや構成までもしっかりとしています。特に『Day』サイドだけでもAORファンは楽しめるでしょう。『Night』サイドの暗さ、狂気っぽさはAORですが、Pink Floydのような内面的な音で、こちらも良い感じです。今年発売されたアルバムで、Mediaの選ぶアルバムには入っていませんが、隠れた名盤と言っても良いほどの作品と思います。



Light / Parcels
Comingback / Parcels
Daywalk / Parcels
Famous / Parcels