30 / Adele (21) | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

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30 / Adele



30adele


 記録的なヒットを放ってきたAdeleの新作、これほど期待されたアルバムもなかったわけですが、予想を超えた素晴らしい作品が届けられました。数回聞いた感情のままに綴ると、オリジナルアルバムでインタールードを挟みながらの12曲と3曲のボーナストラックの入ったものがありますが、その15曲全てが完成度高く、どれも良い曲というのがまず凄いです。次に全米1位曲「Easy On Me」を挟んだ冒頭の4曲の入り、中間にMax MartinとShellbackの曲やR&BチックなInterludeを挟んだ展開、ラスト「Hold On」から「To Be Loved」「Love Is A Game」までの終わり方とアルバム全体で完成度が高いというのが凄い。ラスト「Love Is A Game」はゆっくりとしたバラードから徐々に音が増えてきて、60sポップスの華やかさが加わりアルバム1枚が一つのショーが終わったような感じになるのが素晴らしいです。そしてボーナストラックの3曲が付いていればこれが、まるでアンコールのような3曲といった趣になっています。



 アルバムを聴いていてAdeleに対する印象がガラリと変わりました。離婚を経た後のアルバムという事ですが、相手に対する非難をするわけではなく、人生の転機として前向きにとらえている感じで、生まれてきた子供に対してAdele自身が親が離婚して辛い人生を送ったのにそれを我が子にも与えてしまったことを泣きながら歌っている「My Little Love」にはちょっとグッとくるものがありました。そして後半の力強い「Hold On」はそんな状況でも耐えるという歌で対となっています。Adeleは声が良い、曲が良いとは思っていましたが、洗練され計算されているという意味で『21』や『25』よりも良いアルバムと思います。



 アルバムのクレジットを紹介すると、まずこれまでのAdele作品の相棒ともいうべきGreg Kurstinが中心で2:「Easy On Me」3:「My Little Love」4:「Cry Your Heart Out」6:「I Drink Wine」。5:「Can I Get It」はMax MartinとShellbackのヒットメイカーと組んでAdeleらしくもありポップな仕上がりになっています。ここ数年評価の高いSaultのDean Josiah Cover(Inflo)が9:「Woman Like Me」10:「Hold On」12:「Love Is A Game」。Adeleの「When We Are Young」の共作者でSiaの「Alive」やNiall Horanの「Slow Hands」を手掛けたTobias Jesso Jr.が11:「To Be Loved」を手掛けます。ボーナストラック1曲目「Wild Wild West」はChildish Gambinoの「This Is America」の作プロデューサーであるLudwig Goransson。中間のR&BなInterludeはJazzピアニストのErroll Garnerがクレッジットされているという豪華さです。



 どの曲も良いですが、泣きながら歌う「My Little Love」絞り込むように熱唱する「To Be Loved」とラストの「Love Is A Game」が特に心に残りました。



My Little Love / Adele
To Be Loved / Adele
Love Is A Game / Adele