Ver.5サイトが選ぶ90's R&B 10枚
管理人が所蔵するCDの中から以前に100枚選んだものを除いてジャンル別に名盤を紹介します。今回は80年代後半から90年代後半までのR&Bの名盤です。90年代はR&Bが盛り上がった時期でした。80年代後半から巻き起こるNew Jack Swingのブーム。LA Reid & Babyface、Jam & Lewis、Teddy Rileyといった人気作曲家プロデューサーが登場。Hip Hopサウンドが主流を占めていきます。やがて60年代のMotown Rivival,Down Lowといったスローな音に潮流は変わり、やがて女性Solo Soul Singerブーム、Popsシーンと合わさりDivaの時代へと移ります。そんな80年代後半から90年代後半まででのR&Bシーンが熱かった時代の10枚はなかなか難しいですが、個人的によく聞いてきた10枚をここで紹介したいと思います。(ちなみに以前100枚で選んだMary J Blige『My Life』、Lauryn Hill『Miseducation』,Tony Toni Tone『Sons Of Soul』はリストから外しています)
■ Don't Be Cruel / Bobby Brown (88)
- Don’t Be Cruel/Bobby Brown
- ¥789
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80年代のSoulグループ New Editionのメンバー、Bobby Brownの大ヒット作です。Teddy RileyがMixingをした「My Prerogative」が全米1位のヒット、La Reid & Babyfaceの書いた「Don't Be Cruel」が全米8位、「Roni」が全米3位、「Every Little Step」が全米3位、「Rock Wit'cha」が全米7位とシングルヒットを連発し、アルバムは全米だけで700万枚のセールスを記録しました。New Jack Swingの代表曲「My Prerogatve」のシンセサイザーを使ったヒップホップサウンドは一気に時代の音となり、ヒット曲の大半を書いたBabyfaceはヒットメイカーとしてこの後90年代のR&Bサウンドの中心で活躍しました。
My Prerogative / Bobby Brown
Every Little Step / Bobby Brown
■ Rhythm Nation 1814 / Janet Jackson (89)
- Rhythm Nation 1814/Janet Jackson
- ¥2,570
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87年に『Control』でブレイクしたMichael Jacksonの妹 Janet JacksonがJam & Lewisと組んで作り上げた大作です。「Miss You Much」「Escapade」「Black Cat」「Love Will Never Do(Without You)」の4曲が全米1位獲得。「Rhythm Nation」が全米2位、「Alright」が全米4位、「Come Back To Me」が全米2位と実に7曲がTop5ヒットという驚異的なアルバムでした。シンセサイザーを使ったFunkナンバーを中心に据えながらHard Rockやダンスポップなど音の幅の広さも魅力でした。Janet Jacksonもまた90年代から今に至るまでシーンの中心にいながら時代の音を作り上げました。
Rhythm Nation / Janet Jackson
Love Will Never Do (Without You) / Janet Jackson
■ Poison / Bell Biv Devoe (90)
- Poison/Bell Biv Devoe
- ¥847
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Bobby Brownが在籍したBostonのSoul グループ New EditionのRicky Bell、Michael Bivins、Ronnie DeVoeが組んだグループです。ここから「Poison」(全米3位)、「Do Me」(全米3位)、「B.B.D」(全米26位)のヒットが生まれて、全米だけで400万枚のセールスを記録しました。このヒットからNew Editionの他のメンバーも続きRalph Tresvant、Johnny Gillもソロで大ヒットしたことによってNew Editionそのものが空前のブームとなりました。そしてBell Biv Devoeのメンバー Michael BivinsはプロデューサーとしてAnother Bad Creation、BoyzⅡMenを発掘し、Boyz Ⅱ Menに至ってはその後のMotown Revivalを生み出していきました。アルバムはこれぞHip Hopで、ハイテンポなリズムとメロディのコラボが気持ちいい音を作り上げています。
B.B.D. / Bell Biv Devoe
Poison / Bell Biv Devoe
■ Ooooooohhh...On The TLC / TLC (92)
- On the Tlc Tip/Tlc
- ¥1,698
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LA ReidとBabyfaceのレーベルLa Faceからデビューを果たしたAtlanta出身R&B Hip Hopの3人組です。Rap担当のLeft Eye、リードボーカルのT-Boz、コーラスのChilliという個性的な3人の組み合わせが生み出すよりポップでカラフルなHip Hopサウンドで一気にブレイクしました。後にMadonnaやMichael Jacksonを手掛けて、Monicaを発掘するDallas Austinがソングライティングに関わった「Ain't 2 Proud 2 Peg」はノイズを上手く使ったヒップホップサウンドで全米6位のヒット。Babyfaceらしい甘くスゥイートなバラッド「Baby Baby Baby」は全米2位、Dallas Austinの書いた「What About Your Friends」が全米7位、「Hat 2 Da Back」が全米30位のヒットを記録しました。TLCはその個性からその後の女性R&Bグループが乱立するなかでも特別に存在感を放ちました。
Ain't 2 Proud 2 Peg / TLC
Baby Baby Baby / TLC
■ It's About Time / SWV (92)
- It’s About Time/Swv
- ¥価格不明
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NYの女性3人組ソウルグループです。SWVはSister With Voicesの略になります。当時En Vogueの登場で女性ソウルグループが注目を集めていましたが、ヒップホップを軸にしたR&Bサウンドで「I'm So Into You」が全米6位、「Weak」が全米1位、「Right Here」が全米2位、「Anything」が全米18位のヒットを記録して一気に人気が爆発しました。この辺りからEv Vogue、SWVのヒットを受けて女性ソウルグループが次々とチャートを席巻していきました。SWVの魅力はリードボーカルのCocoのソウルフルなバラードからヒップホップまで歌いこなす幅の広さで、それが一番表れているアルバムです。
I'm So Into You / SWV
Right Here (Human Nature) / SWV
■ 12 Play / R Kelly (93)
- 12-Play/R Kelly & Public Announcement
- ¥1,088
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シカゴのR&Bシンガー R Kellyの大ヒットアルバムです。New Jack Swing、Hip Hopの時代からスローでスムーズなサウンドへとこのアルバムのヒットで流れを変えてしましました。「Sex Me」が全米20位、「Bump N Grind」が全米1位、「Your Body's Callin」が全米13位を記録して、アルバムは全米だけで650万枚のセールスを記録しました。後にダウン・ロウと表現されるグルーブ感のある音が魅力で、70年代のIsley Brothersが逆に脚光を浴びたりもしました。そしてR Kellyがこの後発掘するのがAaliyahで、これが女性Soul Singerのブームに繋がっていきました。
Bump N Grind / R Kelly
Your Body's Callin / R Kelly
■ Ⅱ / Boyz Ⅱ Men (94)
- II/Boyz II Men
- ¥1,333
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フィラデルフィア出身の4人組R&B ソウルグループ Boyz Ⅱ Menの大ヒットアルバムです。60年代のMotownサウンドのようなグループサウンドでヒットを放ち、Motownリバイバルを生み出しました。このアルバムの直前に「End Of The Road」が13週の全米1位を記録していましたが、このアルバムからはBabyfaceの書いた「I'll Make Love To You」が14週の全米1位、Jam & Lewisの書いた「On Bended Knee」が6週の全米1位と特大ヒットを放ち、その他にも「Water Runs Dry」が全米2位、「Thank You」が全米21位を記録しました。日本でもハモりやコーラスサウンドが流行していき、時代の音の中心を作り上げていました。4人の美しいコーラスグループは勿論の事、「Thank You」のようなアップテンポをアカペラで歌うスーパーなグループでした。
I'll Make Love To You / Boyz Ⅱ Men
On Bended Knee / Boyz Ⅱ Men
■ Age Ain't Nothing But A Number / Aaliyah (94)
- AGE AIN’T NOTHING BU/アリーヤ
- ¥2,092
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シカゴの女性Soulシンガー Aaliyahのデビューアルバムです。R Kellyに発掘されたAaliyahですがこのアルバムがリリースされた当時は14歳という若さでした。アルバムタイトル通りに、その年の割に実に艶やかで、ソウルフルなボーカルに注目が集まり、女性ソウルシンガーがAaliyah登場前後で一気に盛り上がっていきました。R Kellyの作曲プロデュースによるファンキーなヒップホップナンバー「Back & Forth」が全米5位、Isley Brothersのカバーによるソウルフルなバラード「At Your Best」が全米6位のヒットを記録しました。この当時数多くの素晴らしい女性soulボーカルが登場しましたが、声の美しさや伸びやかさではAaliyahは存在感が際立っていました。
At Your Best / Aaliyah
Age Ain't Nothing But A Number / Aaliyah
■ Brandy / Brandy (94)
- Brandy/Brandy
- ¥725
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カリフォルニアの女性Soul シンガーBrandyのデビューアルバムです。1979年2月生まれということでアルバムリリース時は15歳でのデビューで、プロデューサーKeirh Crouchとタッグを組み「I Wanna Be Down」(全米6位)、「Baby」(全米4位)、「Best Friends」(全米34位)、「Brokenhearted」(全米9位)とヒットを連発して、一気にトップアーチストとなりました。アルバム全体でBrandyというアーチスト名通りにドープな音が展開していて、トータルアルバムとしては、当時の女性Soloボーカルのアルバムが乱立する中でも屈指の完成度でした。次のアルバムでは大胆にRodney Jerkinsをメインプロデュースに起用するなどプロデュース能力が高い印象があります。
I Wanna Be Down / Brandy
Baby / Brandy
■ Secrets / Toni Braxton (96)
- Secrets/Toni Braxton
- ¥1,006
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La ReidとBabyfaceに発掘されたメイランド出身の女性Soul シンガーToni Braxtonの2ndアルバムです。93年にデビューアルバムを発表し、「Breath Again」がシングル2位を記録するなど活躍を見せていましたが、このアルバムでは一気に風貌も含めて華やかになった印象があります。BabyfaceとBryce Wilson作曲の「You're Makin' Me High」が彼女自身初の全米1位に輝くと、Diane Warren作曲の「Un-Break My Heart」は11週間全米1位に輝きました。Soulシーンからアダルトコンテンポラリー、ポップシーンへの登場で、当時ヒットを飛ばしてきたMariah Carey、Celine Dionとならび歌姫(Diva)の時代の象徴となりました。アルバムはBabyfaceを中心にTony Rich ProjeckのTony Rich、Groove TheoryのBryce Wilson、R Kelly、Soulshock & Karlin(Whitney Houstonの「Heartbreak Hotel」など)、Keith Crouch(Brandyの作品)といった当時のR&B界の精鋭の作り出す音と、パンチのある(ドスの効いた)Toniのボーカルの魅力が詰まった作品です。
You're Makin' Me High / Toni Braxton
Un-Break My Heart / Toni Braxton
ということで80年代後半から90年代後半までのR&B名盤10枚でした。