The Marshall Mothers LP2 / Eminem
- The Marshall Mathers Lp2/Eminem
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Eminemの作品の中で最もバラエティに富んだ内容で、最もコマーシャルな作品と思います。アルバムタイトルのMarshall MothersとはEminemのこと。Eminemを世界的なビッグスターにしたアルバム『Marshall Mothers LP』の続編です。
このアルバムからの突然のシングルカット「Berzerk」を聞いた時の感想は「本当にEminemなのか」でした。Beastie BoysやBeckのプロデューサーで有名なRick Rubinと組んだこのシングルは、The Strokeのギターリフを大胆にサンプリングしたロッキンなナンバーでした。まるでBeastie Boysのようなこのシングルはこのアルバムを象徴しています。続くシングル「Survival」もR&Bというよりはロック系のラップナンバーです。と思えば続くシングル「Rap God」ではシンプルなバックトラックにEminemの本領はラッピンだと言わんばかりの曲になっています。4分30秒近くの高速ラッピンはまさしく" Rap God"そのものです。そして4番目のカットは前作で全米1位を獲得した「Love The Way You Lie」を彷彿とさせるデュエット「The Monster」です。相性の良さというのか、全米を初め世界中でヒットを記録しています。
この4曲だけでも十分に凄いアルバムだと思いますが、驚いたのはこれはまだ序章に過ぎなかったことです。このアルバムは恐らく7曲カットすれば7曲ともTop40に入るだろうポップで完成度の高い曲が収録されています。Eminemらしい危ない歌詞はこれまで通りで、抑揚の効いたラップも健在。そしてポップ。最強です。3曲目の「Ryhme Or Reason」はRick Rubinプロデュースの曲で、Zombiesの「2人のシーズン」をサンプリングしているナンバーです。4曲目の「So Much Better」は切な系メロディで、「Cleanin Out My Closet」を思い出します。6曲目の「Legacy」はピアノの調べが美しい「Stan」系ナンバーです。11曲目の「Stronger Than I Was」もシングル候補。バラード系です。でもこのアルバムの本領は12曲目の「The Monster」から始まります。
私がこのアルバムで一番気に入っているのは13曲目の「So Far..」です。Joe Walshの「Life's Been Good」をサンプリングした和み系のラップです。サンプリングのギターのリフの気持ちいいこと。そしてサビメロ→「Life's Been Good To Me So Far」の展開は素晴らしいの一言です。曲の途中でバーガーキングの下りで『Marshall Mothers』に収録されていた「Real Slim Shady」が入ってくるあたりも良いです。そして流れるようにKendrick Lamarの「Love Game」はWayne Fontanaの「The Game Of Love」をサンプリングしたオールディーズなナンバーです。続く「Headlights」はFun.のNate Ruessをフューチャーした美しいバラードナンバーです。そして16曲目で従来のEminemらしいダークなラップソング「Evil Twin」でアルバムは幕を閉じます。
アルバムとしてのクオリティはかなり高いです。個人的にはこれまでのラップアルバムの中でも上位に入るお気に入りになりそうです。
★★★★
The Monster / Eminem f. Rihanna
So Far.. / Eminem
Love Game / Emienm f. Kendrick Lamar
Headlights / Eminem f. Nate Ruess