Great Pop Songs 300 1990年
- プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム/M.C.ハマー
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1990年ということで、いよいよ90年代の始まりですが、この年の大きな流れはMC HammerとVanilla Iceのヒットによるヒップホップのポップミュージック化に尽きます。ラップナンバーがポップスチャートで順位を上げていき、ポップミュージック全体も、ヒップホップの影響を大きく受けるようになります。一方で、80年代のキーワードであった黒人にも白人にもアピールできるポップミュージックが敬遠され始め、お互いのルーツを再確認するようになります。ポップスチャートに表れないカントリーやロックのヒットが増えてきて、ポップスチャートだけでは全米の音楽シーンは語れなくなります。
201 U Can't Touch This / MC Hammer (90年)
オークランド出身のダンスラッパーMC Hammerが発売した2ndアルバム『Please Hammer Don't Hurt'em』はPrinceやJackson 5、Marvin Gayeといったポップソングの有名曲をサンプリングして、ポップソングとしてのヒップホップを確立しました。この曲はRick Jamesの「Superfreaks」をサンプリングしていて、全米で8位のヒットを記録します。ダボダボのパンツをはいて足を小刻みに動かして平行移動するダンスがブームになりました。
202 Ice Ice Baby / Vanilla Ice (90年)
MC Hammerの成功によりポップミュージックとしてのヒップホップが聞かれるようになりますが、白人ラッパーのVanilla Iceの成功がその流れにさらに拍車をかけました。Queenの「Under Pressure」をサンプリングしたこの曲は全米チャートで1位を記録するなどラップソングとして初の全米1位を成し遂げます。アルバム「To The Extreme」は全米アルバムチャート1位を独走し、Vanilla Ice自身もアニメキャラクターになったりするなど全米のお茶の間に老若男女関係無くヒップホップを浸透させていきます。しかしこの人気の反動も凄まじく、後に3rd Bassが「Pop Goes The Weasel 」(91年全米29位)でディスったり(Weasel=イタチ、侮蔑語)、ビデオではVanilla Iceをボコるショッキングなビデオを作っています。とはいえ、個人的にはVanilla Iceは現在のヒップホップの針を一歩進めました。
203 Vision Of Love / Mariah Carey (90年)
90年代は女性が活躍した時期であったのですが、Mariah Careyはその代表でした。ソニーの社長トミーモトーラにデモテープを渡したことから始まったシンデレラストーリー。このデビューシングルは全米1位を4週間記録し、その後5曲が連続で全米1位に輝きます。デビューアルバムも当然ながら全米1位に輝き、90年代における輝かしいMariah の伝説が始まります。この曲はミニーリパートンばりの高音を使った壮大なバラードナンバーです。Mariahが作曲をしていることも話題になりました。
204 All Around The World / Lisa Stansfield (90年)
UKのソウルシンガーLisa Stansfieldの全米で3位に入った大ヒット曲です。70年代ソウルのBarry White「Can't Get Enough Of Your Love Baby」をハウスサウンドでコーティングした音で、Soul Ⅱ Soulから始まった90年代アシッドソウルの代表曲です。歌詞のロマンチックなフレーズに絶妙なアレンジ、そして情熱的なボーカルが重なって、何度聞いても胸が熱くなります。
205 Don't Wanna Fall In Love / Jane Child (90年)
カナダはトロント出身のJane Childの全米2位に入ったダンスナンバーです。髪の毛やピアスなどの超個性派のファッションが話題を呼びましたが、シンセサイザー音楽が気持ちいいナンバーです。なかなか歌に入らないためまくるイントロが個人的にはツボです。
206 Groove Is In The Heart / Dee- Lite (90年)
Dee Liteはソビエト(現在のロシア)出身のDJ Dmitry Brill に日本の東京出身のTei Towa(現在は吉本に所属)、そして全米はオハイオ出身のMiss Kierjのユニットという多国籍なバンドですが、70年代ファンクを最新テクノサウンドでサイケデリック風にアレンジしたこの曲を全米チャートの4位に送り込みました。ビデオのオープニングではファンカデリックのブーツィ・コリンズが、曲の中ほどではA Tribe Called QuestのQ-Tipがラップを披露しています。
207 Poison / Bell Biv Devoe (90年)
80年代のNew EditionのメンバーであったBobby Brownが89年にブレイクすると90年にはNew Editonの他のメンバーであるRicky Bell、Michael Bivins、Ronnie DeVoeが組んだユニットBell Biv Devoeがこの曲で全米3位のヒットを放ちました。さらにNew EditionのほかのメンバーJohnny Gill、にRalph Trasvantまでヒットを続けてNew Editionが一躍注目を集めました。その後Michael Bivnsはアーチスト発掘を行い、Another Bad Creation、BoyzⅡMenをブレイクさせます。
80年代に活躍を見せていたMadonnaにとってこの曲のヒットは大きな意味がありました。映画ディックトレイシーの関連作品(サントラではない)でリリースされた『I'm Breathless』から、テクノプロデューサー、シェプ・ペティボーンと組んだナンバーは全米1位を3週間という大ヒットを記録します。なにより80年代のイメージにあったポップからテクノに舵を切ったのがこの作品からで、アルバム『Erotica』はこのコンビで作られます。体を部分部分を固めるダンス、ボーギングも流行しました。
209 King Of Wishful Thinking / Go West (90年)
映画「Pretty Woman」サントラからのヒットナンバー。80'sにはおなじみのUKのポップアーチストのGo Westが90年に復活したナンバーです。全米チャートで8位はもちろんGo Westでは最高のポジション。つい口づさんでしまうサビメロが最高です。
210 Hold On / Wilson Phillips (90年)
90年の全米年間シングルチャート1位です。60年代のポップスバンドBeach Boysの中心メンバーBrian Wilsonの娘であるCarnie WilsonとWendy Wilson、そしてこれまた60年代のポップスバンドMamas & PapasのJohn Phililipsの娘 Chynna Phillipsの3人によるグループWilson Phillipsはこの曲を全米チャート1位(1週)に送り込むとデビューアルバムから「Release Me」「You're In Love」を全米1位に、「Impulsive」を全米4位に、「The Dream Is Still Alive」を全米12位に送り込みます。3人の息の合ったコーラスの美しさ、さわやかなメロディは魅力たっぷりで、日本でも人気がありました。特にショートカットのChynna Phillipsの美しさが目を引いてました。