- Corinne Bailey Rae
- Corinne Bailey Rae
2006年の初めBBCが今年期待するアーチストの1位に挙がっていたCorinne Bailey Raeのデビューアルバムです。Corinne Bailey Raeはイギリスのリーズ出身の26歳。プロフィールを見ると教会音楽から始まって、バンド活動を始めて、その後ジャズクラブで働き始め、その頃からR&Bシンガーとしてのキャリアがスタートしたということです。Corinne Bailey Raeを最初聞いた時にまず頭に浮かんだのはR&BソウルシンガーErykah Baduでした。しばらくするとSadeが頭をかすめ、90年代の天才Alicia Keysと比較し始めます。いろいろなアーチストの姿が浮かんでいった後に、出た結論は・・彼女は現代のCarol Kingじゃないかというものでした。彼女は確かに素晴らしいR&Bシンガーであることは間違いありませんが、背景にあるのはもっと幅広い音楽性を含んだロックであり、ポップスです。
アルバムは1曲目の「Like A Star 」を聞いた時から衝撃が走ります。美しいメロディに溶け込んでいくような彼女のボーカル。これまで聞いたことがないようなナチュラルな声は一旦耳にすると頭から離れません。しかしそんな声も曲が進むにしたがって多種多様に変化していきます。声から喜怒哀楽が、感情がダイレクトに伝わります。Bjorkあたりに通じそうな表情の豊かな声です。そんなボーカル以上に魅力なのは彼女の類まれな作曲能力でしょう。先ほどの結論でCarol Kingの名前を挙げたのは実にそのためで、彼女がすべての曲を書いていますが、そのいずれもが美しいメロディと独創性を持っていて、全て完成度が高いです。シングルヒットした「Put Your Records On 」 (UK2位)は彼女の音楽への愛情が伝わってくる佳曲。ソウルというよりはロックの影響を感じます。まるでCarol Kingの「Tapestry」を聞いているかのような錯覚に陥る4曲目の「Til It Happens To You」やTodd Rundgrenあたりの作風を感じた5曲目「Trouble Sleeping 」、Marvin Gayeが頭をかすめた6曲目「Call Me When You Get This」、曲の構成がBeatlesだと思う7曲目「Choux Pastry Heart」、Burt Bacharach風の壮大なメロディを聞かせる7曲目「Breatheless」など聞きどころもたっぷりあります。
ソウル好きには勿論のこと、ポップスファンにもお勧めできる一枚。今年を代表する一枚に間違いありません。
★★★★