Watch The Pop Music Video | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

過去と現在の洋楽シーンをチャートデータをもとに紹介するページ(週一更新予定)

Watch The Pop Music Video - 1982年の全米ヒット編 -


Toto
Toto IV

最近の曲だけじゃなくて、昔の洋楽ヒットも聞いてみよう!というコーナーです。大体週1のペースで10曲程紹介していきます。なお、それぞれのビデオはYoutubeにリンクしています(別ウインドウで開きます)。ビデオが見られることを確認していますが、時と場合によっては見られない場合があります。


今回は1982年です。1982年は「嵐の前の静けさ」の1年と言えます。Eagles、Doobie Brothersといった70年代に全米のロックシーンを支えてきたバンドが解散を発表し、UKでも浮動の人気を確立していたJamが解散します。全米チャートでは、アメリカンロックにビッグヒットが続いて、「ロッキー」や「炎のランナー」「愛と青春の旅立ち」といったサントラからのヒットもありました。一方で着実に80年代の音楽のウネリは進みます。UKでニューロマンティックの旗手Duran Duranが『Rio』を発表。他にCulture Club、ABC、WhamがUKでデビューします。そして1982年の末に80年代で最も重要な作品であるMichael Jacksonの『Thriller』、Princeの『1999』が発表されます。


この曲はこの年に放たれたロックのビッグヒットの一つです。フィラデルフィア出身のジョーン・ジェットがRolling Stonesの「It's Only Rock N Roll」に触発されて書かれたナンバーで、これが全米チャートで7週間も1位を記録する大ヒットになります。曲はパンクっぽくもあり、ワルさもあります。そしてメロディは一度耳にしたら忘れられません。Britney Spearsもカバーしました。ロックの古典的ナンバーです。


Joan Jett & BlackheartsのI Love Rock N Roll (82年全米1位)


この年にブレイクしたアメリカンロッカーといえばJohn Couger Mellencampを忘れるわけにはいきません。インディアナ州のセイモアに生まれたJohn Cougerは75年にメジャーデビューを果たし、79年に初のTop40ヒット「I Need A Lover」を放ちます。そして82年に一気にブレイクし、「青春の傷跡」が全米で2位に入る大ヒットを記録すると、間隔を開けずにカットされたこの曲が初の全米1位(4週間)を獲得します。Jessica Simpsonもこの曲をサンプリングしてヒットしました。


John Couger MellencampのJack And Diane (82年全米1位)


81年でも紹介したJourneyの『Escape』からバンドを代表する、80年代を代表する名曲です。Mariah Careyが90年代にカバーヒットをしていますし、最近では日本の映画「海猿」でも使われたことで耳にしている人が多いはず。82年に全米チャートで最高2位を記録しました。


JourneyのOpen Arms (82年全米2位)


UKのアーチストが全米チャートを圧倒するブリティッシュインベイジョンは82年に始まります。前回紹介したニューウェーブの流れからこの頃にシンセサイザーを使ったテクノポップサウンドが注目を集めます。代表的なのはDepeche Mode、Human League、Soft Cell、Thomas Dolbyですが、81年末にはUKでHuman Leagueのこの曲が5週間1位に輝きます。82年には全米に飛び火し、全米でも1位(3週間)に輝きます。邦題「愛の残り火」というのも強烈ですが(笑)、音楽もなかなか強烈なインパクトがあります。00年代に入り、Kylie Minogueがこの頃のHuman Leagueのサウンドを意識した『Fever』を発表して成功を収めました。


Human LeagueのDon't You Want Me (82年全米1位)


UK発テクノポップということではSoft Cellのこの曲の方が先輩でしょう。Human Leagueと同じく81年にUKチャートで1位に輝き、82年に全米に飛び火して、全米で8位に入るヒットを記録します。しかしこの曲にはもう一つ大記録があって、90年代のチャート改正が行われるまで全米シングルチャートイン週の最高記録がこの曲でした(ランクイン43週)。最近ではRihannaが「SOS」でこの曲をサンプリングして大ヒットしています。


Soft CellのTainted Love (82年全米8位)


1982年には「Hold The Line」で有名なToToが確変した年でした。これもニューウェーブの流れですが、Jazzとポップミュージックが融合するフュージョンサウンドが1982年頃には盛り上がりました。ToToはAORサウンドですが、このアルバムからフュージョンの要素も加わったように思います。アルバム『ToTo Ⅳ』からこの曲が全米チャートで5週間2位に輝き、1983年には「Africa」が全米1位に輝きます。ついには1982年のGrammy賞でRecord Of The YearとAlbum Of The Yearを獲得することになります。


ToToのRosanna (82年全米2位)


フュージョンの流れから、ピアノを軸とした都会的なサウンドが魅力のJoe Jacksonがこの曲をヒットさせたのも1982年でした。アルバム『Night And Day』から82年に全米で最高6位に入るヒットを記録しています。


Joe JacksonのSteppin Out (82年全米6位)


「Fly Like An Eagle」「Joker」などのギターサウンドで70年代に活躍したSteve Millerが82年には自身最高のヒットを放ちます。ニューウェーブサウンドを大胆に取り入れシンセサイザーバリバリのポップなナンバですが、間奏のキュッキューンというギターのちょっとバカっぽいノリと、ビデオクリップの「変なオジサン」がポイントです(笑)。1982年に全米チャートで2週間1位を記録しています。Sugar Rayがカバーしています。


Steve Miller BandのAbracadabra (82年全米1位)


『ニューヨーク52番街』でGrammyを獲得し、80年代もソングライターとして大活躍を見せていたBilly Joelが82年に発表したのはベトナム戦争をテーマにするなどシリアスなアルバム『Nylon Curtain』でした。ここからカットされたこの曲はBilly Joelらしくクラッシックのフレイバーをちりばめたメロディアスな曲です。ビデオがなんと言っても秀逸で、人間の置かれた様々な「圧迫の瞬間」を心理学的に様々な形で見せています。個人的には白く狭い迷路のような部屋や授業中に机の中から水が溢れるシーンが印象的です。82年に全米で最高20位のヒットを記録しました。


Billy JoelのPressure  (82年全米20位)


82年編の最後に紹介するのは82年にGrammyの新人賞を受賞したMen At Workです。この頃はRick SpringfieldやAir Supplyといったオーストラリア出身のアーチストが活躍を見せていましたが、Men At Workはその中でも最も売れたアーチスト(バンド)として知られています。邦題「ノックは夜中に?」はデビュー曲にして全米1位に輝き、続く「Down Under」も全米1位(4週間)を獲得します。この曲が収録されたデビューアルバム『Business As Usual』は全米アルバムチャートで15週間も1位を記録しました(600万枚のセールス)。


Men At Work のWho Can It Be Now ?  (82年全米1位)


82年特集はいかがだったでしょうか。次回は83年編と、スペシャルでブリティッシュインベイジョンを扱いたいと思います。では!