Classic Pop Album紹介
Scissor Sisters / Scissor Sisters (04)
 - Scissor Sisters
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2004年に全英を中心にブームを巻き起こしたScissor Sistersのメジャーデビューアルバムです。Scissor Sistersはニューヨークのインディーで活躍していたジェイク(男vo)とアン(女vo)を中心とした5人組バンドです。UKのポリドールと契約してから2004年にデビューするとPink Flyod『The Wall』に収録されている「Comfortably Numb」のカバーがUKチャートで10位に入るヒットを記録。その後「Take Your Mama」(UK17位)、「Laura」(UK12位)、「Mary」(UK14位)、「Filthy/Gorgeous」(UK5位)とヒットが続き、UKアルバムチャートで1位に輝きます。
Scissor Sistersの音はElton JohnやTodd Rundgrenといった70年代ポップスの王道からEurythmicsやHuman Leagueといった80年代ブリティッシュインヴェイジョンの頃の音に近いです。ボーカルのジェイクが時々フォルセットボイスを使ったりするので若干怪しさもありますが、音そのものは本格的な王道ポップスです。
1曲目「Laura 」はこのアルバムのカラーをよく表すメロディアスでファンキーなナンバー。オルガンでリズムを取りながら様々な楽器がちょこちょこと顔を出す楽しいナンバーです。続く「Take Your Mama 」はElton Johnの70年代全盛期の音を蘇らせたような音です。そして3曲目が問題の「Comfortably Numb 」ですが、Pink Flyodの重たい歌詞を打ち込みで徹底的に軽くミックスして、さらにジェイクがフォルセットボイスで歌うという、このアンバランスさが妙にクセになります。Pink Flyodの原曲は元々凄く好きでしたが、最初にこの曲を聞いた時には思わず仰け反ってしまい、最後には逆にこちらのヴァージョンの方が好きになってしまったぐらいです。4曲目の「Mary 」はピアノに導かれるこのアルバム屈指の美しいバラードです。80年代風の音が良い感じです。80年代と言えば5曲目の「Lovers In The Backseat」もThomas Dolbyっぽいテクノサウンドで、シングルでバンド最大のヒットになった「Filthy/ Gorgeous 」は80年代初頭のディスコサウンドを意識したようなサウンドです。この他、アルバムには70年代と80年代のポップスの要素が程よくブレンドされた曲が揃っていて飽きさせません。
 80年代のポップスに魅せられた人間にはツボを押されまくりのScissor Sistersですが、目指せ第二のCulture Clubという感じで、今後の展開に期待です。
★★★☆