人には「防衛機制」という心のシステムがあります。
簡単に言うと、耐えがたい不安や苦しみや葛藤から自分を守るために、無意識に心がとる対処法のことです。
たとえば、劣等感を持っている人が、憧れの存在と自分を重ね合わせることで自信を持とうとするのは「同一化」、
いつもどこか「生きている感覚」がなくて、外の世界と薄皮一枚隔てているような感覚になるのは、自分の痛みをマヒさせるための「解離」、
そして、表面的には「そんなにつらくない」と思っていても、無意識下にストレスをため込んで身体症状などが出てしまうことを「抑圧」なんて言ったりします。
防衛機制は、本当の痛みや苦しみを別の形に変えたり、なかったことにしてしまう特徴があるので、
つい「よくないこと」のように思えるかもしれません。
でも、人はみんな何かしらの防衛機制を働かせている、気がする。
スポーツや芸術で素晴らしい実績を持っているような
才に長け努力も出来る人だって、もしかしたら防衛機制の「昇華」がその実力をお手伝いしているかも。
(昇華…潜在的な欲求や感情を、社会的に受け入れられる形に変えて表現すること)
防衛機制は、苦しみから逃げる手段というよりも、自分の無意識が考えた「生きのびかた」だったりします。
だからきっと、自分の中で働いている防衛機制が分かったら、
自分がどんな方法でこの人生を生き延びてきたのかが分かるかも。
たとえばもし「現実逃避ばかりの人生だったな」と悔いていたとしても、そこには何か意味があるのかもしれない。
全てはよりよく生きるために、その時の自分が出来る最大限のことをしてきたのだと思えば、見方がガラッと変わるから面白いです。
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※このブログ内に登場するエピソードは特定のクライアントさんの経験談とは関係ありません。