1つ前のお話の続きです。
自発的に上司の仕事を手伝っていた男性会社員。
しかしその働きに「給与」が与えられてから、なんだかやる気が出なくなりました。
これがアンダーマイニング効果では?というお話でしたね。
前回はお仕事に関わる例をあげましたが、
例えば
「片思い中は大好きなのに、交際を始めると相手に興味がなくなっていく」
とか
「子供に”テストで100点とったらお小遣いをあげる制度”を設けたら、最初は頑張っていたのにだんだんやらなくなってしまった」
なんて経験があったら、これもアンダーマイニング効果に類似したものかもしれません。
人は、言動や思考の「目的」や「動機」が変わると、今までやっていたことが出来なくなってしまうことがあります。
でも、
もし、先ほどの男性会社員がもともと「給料のために」仕事をしていたとして、そこに「やりがい」が加わったらどうでしょうか?
「やりたくてやってるのに給料が支払われるなんてイライラする!俺はもう仕事をやめる!」なんてことになるでしょうか?
可能性はかなり低そうですよね(笑)
これが面白いところで、人は
仕事自体へのやりがい
↓
その仕事に報酬が発生
だとやりがいを失ってしまいやすくなりますが、
もともと仕事に報酬が発生
↓
仕事自体へのやりがいを感じ始める
だと、不満を感じることは(前者より)少なくなります。
人の自発的な意欲ややりがいって、ちょっとあやういところがありますね。
「好きなことを仕事にする」という話に賛否両論があるのは、こういう心理もあるからかもしれません。
ただし、人にはもう一つ面白い特徴があって
「一度ゲットしたものを減らされると、意欲の減退につながる」
んです。
なので、
「もともと給料のために仕方なくやっていた仕事に、徐々にやりがいを感じるようになった」という経験をした後に
何らかの理由(怒られる、飽きるなど)でやりがいが減ってしまうと、仕事自体をやめたくなったりします。
もともとは給料のためにやっていたはずなのに、です。
こういうことを防ぐために、意外に大切なのが
「言語的な報酬」だったりします。
「助かったよ」「ありがとう」「頑張っているね」などの声がけは、とてもシンプルですが意欲の継続につながります。
例えば子供に勉強をさせたい親が、「満点を取ったらお小遣いね」という約束をしたとします。
そして実際に子供はテストで満点を取って帰ってきました。
もし、お小遣い制度を設けていなければ、
親は子供の努力に対してたくさん褒め言葉を伝えていたかもしれません。
でも、お小遣い制度が出来てしまうと、
子供ではなく親自身が
「子供はお金をもらうために頑張った」
という認識をしてしまうことがあります。
すると、親はお金を渡すことで子供を満足させた、と感じてしまうので、
親自身も気づかぬうちに、純粋な声がけが減ってしまいます。
それが、子供の「勉強はお金のためのもの」という認識を強化させることになり、
充分な褒美が出ないならやりたくないもの、に変えてしまいます。
なので、声がけはあるに越したことはありません。
アンダーマイニング効果を防ぐためには、周囲もちょっと工夫をしてあげるとよさそうですね。
※ブログに登場する人物・エピソードはフィクションです。多くの方が抱えるお悩みや人物像、つまり「あるある」を書いたものであり、特定の方の情報を書くことはありません。
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