「自分のことは自分が一番分かってる」
「自分のことは自分が一番良くわかっていますから!」
と誰かに言いたくなってしまう時、
それは本心からの言葉じゃなかったりします。
だって、自分のことをよくわかっているのなら、どうしてこんなにも人生がうまくいかないままなんでしょうか。
自分のことを本当に分かっているのなら、どうして他人に振り回されて、同じような出来事に何度も新鮮に傷ついてしまうのでしょうか。
ちょっと筋が通らないような感じがしますよね。
「自分のことを分かっている」というのは、本心というよりも、その瞬間に湧き上がってきた不快感をどうにか説明するために置き換えた「表現」に近い存在です。
だから、「自分のことは自分が分かっている」と言いたくなる時、ほとんどの人が次の言葉を続けたくなります。
「だから、傷つけないで」
「だから、勝手なことを言わないで」
「だから、私を変えようとしないで」
のように。
この不快感が、心の傷です。
心の傷の影響
私たちが「自分で分かっているから」という理由で他人の干渉を拒否・排除しようとするとき、
それは「ここに心の傷があります!」というしるしだったりします。
心の傷を掘り起こされそうになったり、心の傷が「さわらないで」と抵抗を示すと、その瞬間に人はとても繊細で傷つきやすい性格に変わり、態度もかたくなになります。
その証拠に(証拠はいいすぎかな?)、
トラウマや心の傷を癒すためのカウンセリングを続けていると、クライアントさんから
「あんまり細かいことが気にならない」
「人間関係で一喜一憂しなくなった」
「傷つけられる体験が減った」
「自分ってこんな人間だったのね」
こんな言葉が飛び出します。
カウンセリングをしていると、心の傷が人を傷つきやすい性格に変えてしまうことが、よくわかります。
でも、これって当たり前ですよね。
深い傷を負っていたら、その患部は雑菌が入らないように厳重に守らなければいけません。
「これは傷口を刺激するかも」と思ったらあらかじめ排除しなければなりませんよね。そのためにはいつも神経をとがらせていなければいけません。
だから私たちはつい、心の傷を刺激されそうになると、「自分のことは自分が分かってますから、ほっといて、触らないで、わかった気にならないで」と言いたくなってしまいます。
苦しみに気づく
「自分のことは自分が分かっている!」なんてセリフは、幸せなときにはそうそう出てこないものです。
このセリフが浮かんだときは、苦しい時です。
「勝手なことを言うな」と他人への敵意に目が向きがちですが、目を向けるべきはまず、自分が苦しんでいることです。
そして気づいてほしいことは、そこに心の傷があるかもしれない事です。
心の傷の本体を自分で見極めるのはなかなか難しいことではありますが、「いま自分は苦しいんだ」と思うくらいなら、だれにでもできますね。
他人に干渉されることが恐ろしく感じるなら余計に、自分で自分の苦しみに気づいてあげたいものですね。
*このブログは毎日19時に更新されます
当カウンセリングルームに所属する、女性カウンセラーの情報はこちら