「人に怒ってはいけない」という気持ちが強いと、表向きは怒らない優しい人になれます。
でも、「怒ってはいけない」と思ったからといって、怒りの感情が消えることはありません。
すると、行き場のない苛立ちが自分に向いたり、自分を責める気持ちに変換されたり、食行動(食べすぎるなど)や買い物などに反映されてしまうことがあります。
あるいは、社会的に怒っていい相手(犯罪者やルールを守らない人など)に対して、ものすごく大きな怒りが向くということもありますね。
たしかに、「人に怒りを向けない」事にはある程度成功しているのですが、それによるストレスは半端じゃありません。
そして、自分を厳しく律しようとしていると、どうしても他人の「アラ」も気になるようになります。
「怒ってはいけない」と強く思うことは、結果的に「怒る」事に意識のピントが合ってしまうことになるからです。
学生の時、教科書の大事な部分にはラインマーカーを引きましたよね。
マーカーを引いた部分は目立つようになって、ページを開くたびに意識することになります。
それと同じで、「怒ってはいけない」という部分に頭の中でマーカーを引くと、「怒ってしまいそうなこと」が余計に目に入りやすくなってしまうんです。
だから、自分が怒るようなこと、つまり他人のアラや悪事に嫌でも気づいてしまいます。
つまり、怒らないようにすればするほど、「怒りたくなること」が目に見えるようになる。
それをさらに抑圧しようとすると、今度は全く違うストレスの形になって表れてしまう。
こういう話になると、
「じゃあ怒ったほうがいいの?」
「怒りっぽい自分を認めたくない」
「でも怒ったら周囲とうまくやれないじゃない」
と、いろんな気持ちが出てくると思います。
でも、そこで浮かんでくる言葉に従っていると、不思議と「やっぱり怒っちゃいけない」という結論にもどってきてしまうんです。
だから、あれこれ理由や背景を考えずに、ただ「怒っちゃいけないと思う」ことへアプローチしてみる。
その方が思考の渦から抜け出しやすいこともあります。
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