例えば、恋愛がうまくいかないクライアントさんに、
「お母さんが話を聞いてくれない人だったから、その傷を克服するために彼に献身的な愛情を求めてしまうんですね」
と伝えたとします。
自分の悩みに説明がつくと、人は少なからずスッキリした気持ちになるので、なんだか問題が解決したような気がしますよね。
クライアントさんの中には、『これまで「自分のせいで」「彼氏のせいで」と思ってたけど実はそうじゃなかった』という結論に至るだけで、恋愛パターンを手放して変わっていける人もいます。
でも、多くの人は「すっきりするだけじゃすぐには変われない」のが普通です。
だからこそ、みんな誰かに相談し続けます。
占いを見て、有名人の名言にハッとして、いろんな本を読んだりします。
そこに、なにかの真実を求めて。
それを見つけたら人生が変えられるんじゃないかと信じて。
それでも、気が付くとまた同じパターンを生きています。
「変わろう」「こんな恋愛から抜け出そう」と涙を流して覚悟したはずなのに、いざその場面になると、なんとなく「いつも通り」を選択してしまう。
そりゃそうです。
「親から得られなかったものを彼に求める」クライアントさんが、その関係から抜け出そうとすることは、「親から愛される可能性」を手放そうとするのと同じことだからです。
自分が変わってしまったら、「あの時の、あのままの私でも親から愛される」という経験はもう得られない。
それが本当に怖くて悲しいから、(彼を親の代理にしている以上)よくない恋愛だと分かっていても手放せないんです。
クライアントさんは変われないのではなくて、「変わってしまったら、私があの時一番欲しかった愛情をもう与えてもらえないのでは…」と思うから、変わるわけにはいかないんですよね。
そして実際には、このようなクライアントさんの彼はちょっとクライアントさんを傷つけたり、支配するような人だったりするので、
クライアントさんが変わろうとするのを、彼も敏感に感じ取って止めにきたりもします。
(クライアントさんが別れ話をしょうと思っていた日に急に優しくなる、クライアントさんが必要だと言う、忙しくて会えなくなる、など)
つまり、障害が多い。
私が心理療法を積極的にカウンセリングに取り入れているのは、
そういう複雑な問題を抱えた人が、自分の意思だけで変わらなければならないのは酷だから、というのもあります。
必要なのはクライアントさんの「意思力」ではなくて、「心の傷をいやすこと」だと思うからです。
*このブログは毎日19時に更新されます
当カウンセリングルームに所属する、女性カウンセラーの情報はこちら