生きることはつらいことで、仕方のないこと。
そんな姿勢を崩さないクライアントさんが、たまにいらっしゃいます。
物腰が柔らかく、使う言葉が優しくても、どこか差し出した手を受け取らないような、幸せになってはいけないと思っているかのような、そんな雰囲気がある方達です。
でも、「幸せになってはいけない」という気持ちは、なんとなく少し分かるような気もします。
幸せになるということは、それを失う絶望がすぐそばにあるということだから。
傷ついた人達の中には、それをとても恐れる方がいます。
幸せになりたい、楽になりたい、と口で言うのは簡単ですが、実際にそれを手に入れるのはとても勇気がいる事です。
一度「楽」を知ってしまったら、今の「つらさ」に気が付いてしまう。
一度幸せになってしまったら、今度はそれを失う不安が付きまとう。
そして、心の奥では「ずっとつらかったのに楽になってしまって大丈夫なの?」という漠然とした抵抗も働きます。
そんな気分を抱えたクライアントさんは、「幸せになりたい」と「なってはいけない」の狭間で揺れ動く状態を、カウンセリング中に何度も何度も繰り返すことになります。
「幸せになってはいけない」という気持ちはとても強いので、揺り戻しがやってくる場合もありますね。
(幸せ!と思ったら気分が落ち込み始める、といった感じで「元の状態」に戻されることです。)
揺り戻しが起こった人の中には、それを「幸せになってしまった罰」のように感じる方もいますが、でも、それは逆。
そうまでしてあなたを不幸に戻したい「強い力」が、一体どれほど今まであなたを苦しめてきたのでしょうか。
揺り戻しは、その人が向き合おうとしているものの大きさ、その人が戦ってきた悲しみの大きさを知る良い機会でもあるんです。
幸せになるということ、楽になるということは、同時に強くなっていくことでもあります。
自由や幸せを両手で受け取れるようになったら、「生きていることもまあ悪くないな」と思えるようになるかもしれませんね。
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