私のカウンセリングでは、心理療法や具体的なカウンセリング内容に取り掛かる前に、「生育歴」と「家族歴」についてお聞きしています。
生育歴は、学校の入退学やいじめ、引っ越しなども含めた、
「あなたの人生に、いつ、どんなことがありましたか?」というものです。
もちろんすべてのイベントを詳細に覚えている方は少ないですので、分かる範囲でお聞きしています。
それを元に、さらに私からいくつかエピソードをおたずねします。
家族歴は、ジェノグラムともいって、家系図です。
クライアントさんと、クライアントさんのご家族、ご親族について、その構成をお聞きして、さらにいくつかの項目に当てはまる方がいらっしゃるか教えていただきます。
こちらもご親族全員のことを把握されている方は少ないので、もちろん分かる範囲で大丈夫です。
この2つは、必ずやらなければならないわけではないのですが、
これらを心理療法の内容を決める時の見立てにすることで精度があがったり、
クライアントさんの生きやすさを一緒に模索するうえでの強力なヒントになることがあります。
人の悩みや生きづらさには、いろんな要素が混ざっています。
「怒られたので泣いた」というような、直線的な因果関係ではないものもあります。
今はほとんど思い出すこともないような出来事がトラウマになっていることもあれば、
実は脳やホルモンバランスの特徴によるものだったり
ご本人の問題ではなく遺伝的な要因が隠れていたりします。
あるいは、よく考えたら自分の悩みは他人の悩みだった、なんてことも。
ストレス、悩み、トラウマは、親から子へ受け継がれてしまうこともあります。
お悩み一つとってもさまざまな要因が考えられるのですよね。
なのでなるべく生育歴や家族歴はお聞きしています。
悩みの原因が何なのか?について突き詰めることにはあまり意味がない、という考え方もあります。
確かに、すべてに意味を求めたり「何(誰)が悪かったのか」だけを考えれば、今ある辛さから抜け出すのは難しいかもしれません。
でも、「自分の悩みなのに、なぜ自分では解決できないのか」という問いには、多くのヒントが隠れていると思っています。
そこには、思っているのとは別なストーリーがあるかもしれない。
別のストーリーがあるのなら、別の「生きやすくなる方法」があるかもしれない。
生育歴と家族歴は、そのヒントとして使わせていただいています。
*このブログは毎日19時に更新されます
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