「変わりたいのに変われない」人の特徴として
「挫折や失敗の経験が少ない」が挙げられます。
物事への回避能力が高くなった人は、
挫折や失敗をしてどん底に落ちる前に
それを上手いこと回避できる能力が身につきます。
これも、自分を守るための機能の一つです。
どん底に落ちて自分が苦しまなくていいように、
壊れてバラバラになってしまわないように、
挫折を未然に防ごうと心が頑張った結果の機能。
このままでは挫折するんじゃないか、と心配されるような
出来事に遭遇すると、これ以上前に進まないために
さまざまな理由を見つけては回避します。
結果として、挫折や失敗に行きつく前に
何らかの理由を付けて回避することになりますから
「挫折や失敗の経験が少ない」ということになります。
しかしこれがまたちょっと厄介で。
実は「大きなショック」というのは、その場で受け止め消化していかないと、やがて何倍もの反動が来ることがあります。
大事な家族を失った人が、うまく悲しみを表現できず
周りに気を使ってニコニコすごしていたりすると
数年経った後にいきなり重い精神状態になることがあります。
ショックというのは、受け止める工程を省いて「なかったこと」にはできない。
受け止めるか、延期するかのどちらかです。
この点、挫折や失敗を回避する方達はどうでしょうか。
「回避しているんだから、そもそもショックを受けないのでは?」と思いますよね。
でも、「挫折を回避する」ということは、挫折を予想し想像していることになります。
つまり、本当は頭の中で、しっかり挫折を経験しているんです。
それが現実に起こらないように回避しているだけで、すでに心はダメージを受けている。
だから、これは「失くした家族の悲しみを表せずにニコニコしている人」と似た状態になっているんです。
ショックを受け止める適切なタイミングを逃し、延期してしまっている状態です。
回避し続けるということは、大量のショックを延期し続けるということ。
たくさんの負債を抱えて、毎日いきいきと過ごせるはずがありません。
これは、「逃げるな」ということとは違います。
逃げていい、でも自分が何のショックから逃げるのかを
きちんと抱きとめます。
それが挫折の代わりになって
自分の中で消化されて、ちゃんと消えていく。
この過程を行わないと、
どんどんいろんなことが不安になって
何でもかんでも回避してしまう様になります。
だから、「変わりたい気持ちがあるのに変われない」になってしまう。
「現実を回避したらショックも回避できる」ということはなくて、
「現実を回避しても、心はすでに現実を想定して傷ついている」事に気が付いて、
きちんとそのショックを見つめてあげることが必要です。
挫折の中には必ずダイヤの原石があって
きちんと涙を流したら、優しくなれるし強くもなれる。
自分の挫折と向き合い、
リアルタイムでショックを抱きとめられることは、
100%その人の糧になって心も成長できます。
*このブログは毎日19時に更新されます
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