昔大好物だった食べ物を久しぶりに食べると、
「あれ?こんな味だったっけ」
なんて思うことがあります。
何年も前に読んだ漫画を久しぶりに読み返してみると、
覚えていたストーリーと少し違ったりして、
記憶がごちゃまぜになっていたことに気が付きます。
友だちと話している時に、「昔こういってたよな」なんて言われて、
そんなこと言ったっけ?と思い出せません。
こういう現象は、カウンセリング中にもたまに起こります。
何年も通ってくださっている方のお話を聞いていると、
なんだか昔聞いた話と少し違うような気がするときがあります。
以前の記録をさかのぼると、やはり今と昔で話の内容が変わってきています。
心理療法をしたことで、忘れていたトラウマや過去の記憶を思い出したということなのか、
記憶があいまいになって他の出来事をごちゃまぜになっているのか、
それとも昔は言えなかったことを口に出せるようになったからなのか。
話の内容(出来事の事実)が変化していっても、特に問題はありません。
ただ言えるのは、「人の記憶はあいまい」だということです。
だから私は、「過去を大事にしすぎない」事が大切だと思っています。
記憶というあいまいなものになってしまった過去を大事にしすぎると、逆に苦しみの元になってしまうことがあるからです。
人は「過去と今が地続きである」、という認識が強いので
良くない過去、辛い過去にいつまでも捉われてしまっていると
「今」もどんどん悪くなっていきます。
辛い過去を大事にしすぎることは、過去に生きることになります。
過去に生きれば、「今」はつらかった過去の証明でしかなくなってしまいます。
つらい過去の証明である今が、良い人生になるはずがないのです。
過去に生きると、救われません。
それでも、過去を何度も思い出して捉われてしまうのは、
それだけ未消化な苦しみが存在しているから。
トラウマから解放されるということは、今を生きることができるようになるということです。
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