トリル地区
17:00
「今日は1万歩歩くぞ」と中古のアイフォン7の万歩計を見るのが待ち遠しく歩いて、
よく通る路地に入り、
ブーちゃんたち、
どうしたんだろ?、
ロープで繋がれてません。
路地に面したこの家、
柵もありません。
ボクが通ると、
いつも「アリガト、アリガト」を繰り返す、
前歯が二本欠けたチビ(男子7歳)が、
「フィエスタ(お祭り)だから、この豚はレチョン・バブイ(豚の丸焼き)になるダヨ」、
ボク「いつ?」、
チビ「いまダヨ」、
ボク「Mao ba?/ マジで?」
そんな知的なカンバセーションを聞きつけ、
白髪を引っ詰め痩せたお婆さんが、
「あんた、ビサヤ(語)話すダカ?」
ボク「Gamay Lang /ちょっとだけね」と、
ここら辺はよくある話の流れ。
聞けば、
明日、このエリアのフィエスタで、この庭で5頭を料理します。
頸動脈を鋭いナイフで切り、息の根を止め、
全身の毛をお湯や水をかけながら直接カミソリの刃で剃り、
内臓を全て抜き取ってから、
金属パイプが口から肛門を貫き、
炭火の上で焼かれるんです。
解体する時間を別にして、
焼くだけでも3時間はかかるでしょう。
ですから、
前日夕刻からの「仕事」になるわけです。
本来なら今月24日から、
始まるはずの公立学校も、
10月に延期となり、
死ぬほどヒマな子どもたち、
20歳以下は外出禁止が続き、
通りに出るのもたまにで、
路地で遊ぶか、スマホいじるか、
そんな毎日がもう5ヶ月。
年に一度のフィエスタ 、
バナナの葉の上に乗せられた「レチョン・バブイ」
今年はひと味も、ふた味も違うでしょう。