トリル
いつも持ち歩いているメモ用のノート、
これが最後のページになり、
通りがかりの文房具屋へ。
ガラスカウンター内に平積みされていた、
モトクロスバイクの表紙を指さし、
白い制服シャツ姿の若い女性店員、
(制服は、支給品ではなく店から買わされたモノ)、
ノートではなく鉄板でも持ち出すように、
カウンターを左手で支え、右手で引き出します。
じゃ、これにしようかな、
そう思った時、目の角に入ったモノがこれ、

ん~、

浮世絵師、葛飾北斎の荒波と、
その向こうに控えめに描かれるマウント・フジ、
宇宙空間にぽっかり浮かぶ the moon、
そして「幸せは波になる」、
この哲学ぶった文句、
いったい、なんなんでしょう、これ (笑
ほんとうは彼らの大好きな、
「愛」の文字を探していても見つけられず、
代わりに見つけたのが「幸せ」だったのか (笑
ただ、この the moon の引力が、
ボクの視線を、そして人さし指をも引き寄せたのは、
たしかです (笑
女性店員に、
「やっぱりこっちにする」、そう伝えると、
さらに重そうな鉄板を引き出すように、
the moon ノートを出してくれます。
23ペソ

この平面に表された不思議な三次元空間、
これも「縁」なのか、
それとも、何でもかんでも、
「縁」に結びつけようとしているだけ、なのか、
しばらくは、
ボクの日常を、この非日常を、
共にすることになりそうです。