17:00
トレッキング・シューズの紐を締め、
軽く散歩。
サブディビジョン(住宅地)と、
スクワッター(不法居住)ゾーンが入り混じるエリア、
共同で使う、井戸の手押しポンプがあり、
水道をひけないスクワッターの人たちは、
この錆びてガタつくポンプの水で、
炊事、洗濯、行水します。
いつもこの家の前を通るのですが、
この日、屋根代わりに張られたシートすき間から、
煙がモコモコと、

前に停められたトライシクルに乗った、
小学一年生くらいの女の子三人、
四歳くらいの男の子一人、
男の子「おじさん、ビンカ買ってよ」、
ビンカとは米粉、小麦粉、砂糖、
そこへココナッツミルを入れた蒸しケーキ。
女の子「一袋20ペソよ」
どうやら、四人は客引きのようです、
秩序あるダバオ市、
「客引き行為は禁止」されてます (笑
試しに軽く訪問します、

訪問を躊躇する入り口、
一回、深呼吸して、
「おじゃましまぁ~す」
ファクトリー内、
いきなり、強遠赤外線ビーム 、

これ、溶岩流でも宇宙からの隕石でもなく、
ココナッツの殻を乾燥させたモノ、
この太陽の恵を燃料に、

平らな「縄文式焼き釜」の上下でファイヤーし、
引き出しのようになっていて、

煤(すす)と焦げ付きで、真っ黒になった焼き型、
バナナの葉を敷き、そこへ生地を流し焼き蒸します。
左、CEO兼工場長のお父さん、

家族全員ファクトリー、

ボク「これ、どこで売るの?」
お母さん「バンケロハンよ」
バンケロハンとは、
たぶんダバオ市で一番大きなマーケット、
そこへ卸しているようで、
これだけの量を小売りするのも大変です。
一袋20ペソを買い、外へ出ると、
「あれっ」、
どこで嗅ぎつけたのか、
チビ軍団が増えてます (笑
もう一袋買い、

チビ軍団へ「食べなよ」、
と、
軍団、柄にもなく恥ずかしがり、
走って逃げます (笑
トントントンと、リズムをとり、
一歩一歩、軽く弾むように、
足を送り出す仔犬、
後ろから「ヒュー」と口笛をひと吹きされると、
ピタッと止まり、一瞬、振り向くかどうか迷い、
そこへ「ヒュー」っと、もうひと吹き、
仔犬はもう止まっていられず、
短い鼻先を突き出すように、
こちらへ走り出します、
仔犬とは、そういうモノです。
ボク「写真撮るよー!、写真!」、
ここ北緯7度で一番効くコトバ、
「写真撮るよ」
仔犬たち、
もう逆らえません (笑

