コンビニで、お釣りが180円なら、
100円玉、50円玉、10円玉3枚です。
もし、50円玉を切らしていたら(日本のコンビニでは起きないでしょうが)、
10円玉8枚を数える必要があり、
100円玉も切らしていたら・・・
1円、5円、10円、50円、100円と、
5倍、2倍を繰り返し、十進法での勘定がスムースにいくための、
重要な工夫の一つでしょう。
トリルのマーケット場内、
3階建てビルの、1階角のベーカリーで、
売り子として働くマリカ。
フィリピンでは珍しい歯並びがキレイで、
さらに珍しい、まゆ毛が自然のまま、
見た目は女子高校生のよう。
彼女のフェイスブックには、
彼女の赤ちゃんとの写真だらけで、
旦那さんの写真は見当たりません。
彼女は今、カレッジへ通っていて、
その間、赤ちゃんは彼女のお母さんが、面倒を見ているそうです。
ボクが民生委員のように、
未婚のシングルマザー宅を、訪ね歩いたわけでもないのに、
ダバオへ来て、既に30人以上の若い女性に会いました。
同じマーケット場内で精肉卸、小売をするスティーブンに、
その話をすると、
スティーブン「そりゃぁ、フィリピンのトラディションだからなぁ~」、
ゲラゲラと笑いだし、ボクとハイタッチします。
ベーカリー前は、広くコンクリート打ちされていて、
客待ちのトライシクル(バイクタクシー)ドライバーの溜り場、
夜はビルの張り出した、その軒下に、
ホームレスの5、6家族が寝泊まりしています。
一人のドライバーがマフィンと、
ローカルのソフトドリンク、スパークルの代金23ペソ、
白銅貨の中央に、銅貨がはめ込まれた10ペソ硬貨1枚、
1ペソ白銅貨13枚を、
ガラスカウンターへ無機質な音をさせて置きます。
マリカが10ペソから、人差し指の爪で起こして拾い、
続けて1ペソ白銅貨を、小声で数え始め、
11(オンセ)、12(ドセ)、13(トレセ)・・・23(バインティトレス)、
数え終え、彼女の右頬に笑くぼが見えます。
マフィンを買おうと、カウンター前にいたボクは、
「自分だったら、日本人だったら、どう数えるだろう、
13枚の白銅貨だけ数え、10をたすだけだろうなぁ」と。
そして、彼女がカレッジの学生であること、
その彼女が、赤ちゃんを育てていること。
ボクはマフィンを指差し、
マリカはそのマフィンを、ペラペラの半透明レジ袋へくるみ、
ボクへ渡し、彼女の空いた手のひらに10ペソ白銅貨を渡します。
ボクは基本、お金は手渡しです。
お釣りの5ペソをマリカが、ボク手のひらへと渡し、
彼女の短く切り揃えられた爪の上、
各関節に刻まれた、深く長いシワ、
きっと、手洗い洗濯、野良仕事のモノでしょう。
レジ袋の中のマフィン、
口にはしたものの、みょうにパサつきます。