続きです、
誕生日当人のケン(男性41歳)は1年前、
昇給のないセールスマンを脱サラし、
トライシクル(バイクサイドカー)に小判焼き道具を積み、
今では計5台が、トリルのドーニャ・カルメン高校(生徒数5,000)隣や、
マーケット敷地内で小判焼きを1個5ペソで売っています。
小判焼き、といっても「餡子」は手に入らないので、
ローカルのプロセスチーズの、サイの目切りを一つ入れて焼き、
焼き型とガスバーナーは日本製だそうです。
ケン「まだまだ儲けは少ないけど、頑張るよ」と、
額からたれる汗を拭きながら言います。
健康的で笑顔の絶えない奥さんのベル共々、
ジム通い、「ZUMBA」というフィリピン流エアロビクスしていますが、
他の人たち同様、立派なお腹で、成果を見るのは先のようです(笑)
ケンから朝8時に来るように言われ、
珍しくジプニー満車乗車拒否がなく、
すんなり乗れ、早すぎの7時半に着いてしまい、
近所を散歩してからの訪問。
たぶん、フィリピン在住邦人ならば、みなさん経験済み(笑)
ケンはお兄さんから誕生日プレゼントされた、
(ニセモノ?) G-ショックを人差し指でトントンと、
「フィリピン人は時間守れないんだよね~、
オレがセールスマンの時には、キチッと守ったよ」
そう言いながらも、まだ来ていない人たちに電話して、
優しい口調で「今、どこかなぁ?」と、誕生日当人はなかなか忙しい(笑)
9:30
ハイエース(現行型/フィリピンで1番売れているバンかも)と、
イスズダブルキャブ(後ろが荷台タイプ)に定員オーバーで乗込み、
レッツゴー!(笑)
途中、「アレを買い忘れた、コレが足りない、この道違うぞ~ 」と、
寄り道して、11:30 、メデタく「夢の国」へ到着ぅ(笑)
みなさん車外へ出て「ピクチャー、ピクチャー!/写真、写真!」
美しい立像たちと思い思いに、大切なセレモニーの一つ、
撮影会(笑)
日々、彼らの生命の源である、
フェイスブックへと、アップロードされる数十億枚の写真、
処理するコンピュータも熱を帯びていることでしょう(笑)
ケンの親せきの若い兄ちゃん3人が、
給食用みたいなタッパー入りのフライドチキン、
春巻き、エビの甘辛煮、カットパイナップル、
キニラウ(生のマグロと焼き豚を軽く酢であえたモノ)等々を、
畳ほどのコンクリテーブルへ運び始めます。
その時、道中ずっとタブレットでビデオゲームしていた、
甥っ子(10歳)がスニーカーでテーブルの上を歩き始め、
周りは、全く注意しません。
こうゆうことが、ボクにはキツいんですよねぇ。
まぁ、引き合いに出すのもなんですが、
今回の集まりは熱心なキリスト教信者さんたち、
ケンの奥さんのベルは話しの中に、
「神の意志だから」が発せられますが、
こういう時に注意しないし、
みんな、話しに夢中で気にもしてないようです。
ボク、呼吸を落ち着かせ、穏やかさを心がけ、
「 Don't do that / ダメだよ 」と。
みんな、一瞬ボクを見てから、
甥っ子も従い、話しに戻り、何もなかったように。
ボクのココロの中だけ、さざ波が重なりあい、
大きなうねりとなり残ります。
ダブルカートン(二重段ボール)に囲まれた、
豚の丸焼きも運ばれて、テーブルに置ききれないモノは、
同じくコンクリのベンチに置かれ、
パスター(役好き牧師)の簡単なスピーチ後に、
賛美歌(?)を静かに歌ってから、乾杯します。
コーラか、スプライトの選択肢ですが(涙)
とにかく、とにかく、食べに、食べます。
食後は、これまた美しく、ボクの思考を超越した像が並ぶプ~~ルへ、
のはずでしたが、プールがあることをボクだけが知らず、
ヘッポコお土産ショップで、ニセモノアンダー・アーマーの、
鮮やかな水色で、濡れるとぴったり張り付き、
股間がクッキリしてしまう海パンを200ペソで買い、
いざ、プールへ(笑)
平日でまばらなプールは貸切気分、
FRPで造られた滑り台に子供たちは集まり、
その上には60秒毎に満水になり、
倒れる仕組みの樽の水が滝のように一気に落ち、
その大きな水のかたまりを、下で子供たちが、
今か今かと、待ちかまえています。
ウーカイウーカイ(中古衣料露店)で買った、
ぶかぶかのラッシュガードを着た少女が、
年子の兄と水のかたまりを待ち、
少女は、ゆるく握った拳から、
小指、薬指、中指の順(フィリピンの数え方)でゆっくり開いていき、
中指には彼女に不似合いなシルバーリング。
隣にはボク、
と、一気に水のかたまりが勢いよく、少女、兄と、ボクに落ちて、
少女の拳は、その勢いと、びっくりと両方で、
パッと開いてしまい、いくつまで数えたのか分からなくなり、
彼女は水滴のついたまつ毛で、ボクを見つめ、
その目は「いくつまでか数えてた?」と訊いているよう(笑)
ボクは両肩をちょっとだけ上げ「さあね」と。
少女はニコニコして、FRPの滑り台を笑い声と共に流れて行き、
また、兄と一緒に登って来て、
上を見て、水のかたまりを待ちます。
幾度も、幾度も、もう止められないように繰り返す兄妹、
身体中のエネルギーが外へ飛び出そうと、
楽しいと、生きる、が同じような兄妹、
いつしか、
ボクの中にあった、うねりも消えていきます。