ただ、静かに忘れましょう。 | 浮世離れした、半世捨て人のブログ

浮世離れした、半世捨て人のブログ

“ 暑くて、やってられねぇ〜 ”

満員御礼(笑)

セブ島ーボホール島間、
72人乗りバンカーボート
イメージ 1

この天井上にキャプテン(船長)のキャノピーがあり舵取り。

天井に留められた青いパイプの中にはワイヤーが通され、

これが後方の鐘を鳴らし、前進、後退、加減速を、

エンジンクルーに伝え、クルーのマニュアル操作でギアチェンジ(笑)


コーストガードが定員数を数える間だけ、

オレンジ色のライフジャケット着用(笑)





10:30
セブ・ピア1チケット売り場

すでに、次、その次の便のチケットも売り切れ、

残りは15:00の便のみ (涙

ボホール島、田舎の3つのバランガイ(町会組織のようなモノ)で、

フィエスタ(お祭り)があり、セブや他の都市からの帰省客が多いのです。



チャーミングな妻「もう一つの会社で訊いてみましょう」

ボク「行こ、行こ」と、別のチケット売り場へ、

ラッキー!、
14:00の便がありました 😀😀😀




14:15

15~30分遅れは普通ですが、

2人の兄ちゃんが、サイドデッキ(通路)をヨタヨタと、

30㍑ポリタンクで、
軽油を船尾の燃料タンクへ運んでます。

乗客、クルー、共に燃料補充を確認でき、ガス欠ナシで安心、安心(笑)





紺色の制服姿、左胸に名前が白刺繍された、

コーストガードが乗客リストを脇に、

右手にカウンターを持ち乗り込み、人数をカウントし始めます。

12㍉コンパネに開けられた窓から、

薄いイエローのミラーサングラスで乗客一人一人を見て、

親指だけを動かし、カウンターのラチェットギアが回転していきます。

数え終わり、キャプテンのキャノピーデッキへ肘をつき、

何か話し込み、15分、20分と過ぎたあたりで、

妻がクルーの一人に訊き「一人多い」事を知ります。

チケット売り場でリストへ各自名前を記入し、

72人の定員は越えていないはずですが、

コーストガードは、名簿にない4人の赤ちゃんの事を指摘しています。

ここで、
みんなが「タカリ」に気づきます。

先輩コーストガードから聞いたやり方通りのタカリに。




コーストガードは出港が2時間遅れようが、

3時間遅れようが、
カンケーありませんから、有利です。

有利というより、彼の思い通り。



乗客もキャプテン、クルーもそうはいきません。

乗客の中には、港に着き、バスで目的地まで行く人も多く、

そのバスを逃したら、町に宿はありません。

ペンション・ハウスは、あるにはありますが、

彼らの払える金額ではなく、公園、バスケットコート屋根の下で野宿です。



コーストガードは、この仕事に就く前は同じ立場でしたので、

こういった事を知っての上で、
そこを突いて、

彼の持ち時間はたくさんあり、
乗客はその逆。




熱帯の午後の日射しがボートのコンパネ屋根を貫き、

アイドリング中のディーゼルエンジンの排ガスは、

船尾からの微風に運ばれて船内にこもります。

さらに、30分が過ぎた頃にキャプテンから「小遣い」が手渡され、

コーストガードは軽い足取りで、サイドデッキを歩いて下船。

バンカーボートの窓からは、彼の磨かれた黒い革靴が見えただけ。





コーストガードは、ただ奥さんの誕生日プレゼントを買いたかった、

子供へのスニーカーのプレゼントかも、

あるいは、
チキンの炭焼きグリル店、
「Sr・ペドロ」で、

170㌷のチキン丸焼きを、
食べたかったのかもしれません。

彼の日当の半分のチキンを。


そして、

そのチキン、
彼にはどんな味だったのでしょうか。