本日は、賃金支払いに関する労働問題(その3) 全額払いの原則 です。
賃金については、労働基準法24条により使用者は労働者に対しその「全額」を支払わなければなりません。
しかし、定期給与や残業代の未払い、割増賃金のカット、給与からの不当な天引き等の労働問題は後を絶たちません。
おそらく給与等賃金の支払いにおける労働問題で最も多い労働問題が、この全額払いの原則違反であると思われます。
それだけに事業主や人事担当者の方々には、特に賃金の支払いに関して無用な労働問題を発生させない為に注意して頂きたいと思います。
ところで、この全額払いの原則は必ずその全額を支払わなければならないかというとそうではありません。
法令に別段の定めがある場合や労使協定(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定)がある場合においては、例外として賃金の一部を控除して支払うことができるのです。
まず法令に別段の定めがある場合とは、税金や社会保険料等を天引きするような場合です。
つまり、所得税の源泉徴収や社会保険等(健康保険料や厚生年金保険料及び雇用保険料等)の労働者負担分を給与から直接天引きし控除することは認められているのです。
また労使協定がある場合とは、組合費、旅行積立金、その他社宅の家賃等について、過半数労働組合や労働者過半数代表と使用者との労使協定があれば、給与から控除する場合です。
これは労使協定があってはじめて可能になるものであり、労使協定がなければ労働者の同意があっても天引きすることは原則できないのです。
つまり労使協定のない天引きは全額払いの原則違反で労働基準監督署の是正指導の対象になるのです。
事業主が度々労働者に給与からの天引きつまりなんらかの理由で労使協定を締結せずに適正な額の賃金を支払わないことがあります。
どんな理由があろうとも上記の例外を除き、賃金は原則その全額を支払わなければなりません。
経営者の皆さんには無用な労働問題を起こさない為にも、是非全額払いの原則を守り、適切な人事労務管理を心がけて頂きたく存じます。