優しさにも責任が伴うことを知ったのは
随分大きくなってからの事だった

無責任な優しさは時に人を殺すことも知った

自分の力量の限界を知らないことは
いくら善意を持ってしたことでも
結果的に人を苦しめることも知った


それが相手にとって
人生や生命に関わる大きなことであるほど
無責任な形で手を差し伸べることは
正義だとは限らないことを知った

やるからには自分の時間も、エネルギーも
ありったけ捧げなければいけないことを理解した

自分の『人に優しくしている』気持ちを
埋めるための行為にしか出来ないなら
手を出す方が無責任なのだと

それくらいなら様々なプロに繋いだ方がいい


だから私は『守る』や『頼ってこい』
という言葉を安易に使う人はあまり好きになれない


ここまでは出来て、ここからは出来ないと
正しい理解をした上でないと
善意だけでは人は
他人の生命や人生には踏み込めないんだ

だからデリケートで、綺麗事じゃない


自分の罪悪感を拭うために
人に優しくするのは別に優しさじゃない

自分が弱っていた時にも肌で感じた


ぶら下がる自分を
最後まで抱えあげてくれる他人なんて
生きている中で一人出会えたら最高の幸運だ

他人が安易に発したそれらは
別に本当に最後まで腹を括って
無条件に頼らせてくれるわけでも
守り抜いてくれる訳でもない

最後は自分で自分を守るしかない
これは基本


だから逆に
大きな問題であればあるほど
自分ができるラインは正しく把握して
正しく伝えなくてはいけないよ


優しさって簡単じゃない