筑波大学名誉教授、村上和雄氏の言葉です。


人と話をしていると、あれこれできない理由をいいだす人がいます。


こういう条件だからできない、こういう環境だから不可能だと、できない理由を並べ立てるのですが、こうすればできるのではないか、こんな方法があるのではないかと、できるようにするためにはどうしたらいいかを考えるほうがいいと思います。


できない理由を探す人には、2つの特徴があります。


ひとつは、余分な知識がある人です。


余分なことを知っているから、これはできないとハナから決め込んでしまいます。


もうひとつは、自分の中に限界を設けてしまう人です。


自分には才能がない、成功する可能性がないと限界を設けてしまって、チャレンジすることをやめてしまいます。


しかし、本当にいい仕事をしている人や業績をあげている人は、できない理由を探す前に、まず動きます。


限界を突き抜けるためにどうしたらいいかを必死で考え、それを実践します。


できないと思うのではなく、できると信じるのです。


「できない」を「できる」にするためには、誰にでも未知の可能性が秘められているということを信じることです。


その可能性のスイッチをオンにすることができれば、誰もが自分なりのゴールに近づくことができるのです。


そのためには、人に教えを請うこともひとつですし、ITなどの新しい技術を積極的に活用することもひとつの方法です。


それが問題解決のヒントになるし、新しい発想や見かたをもたらしてくれます。


私たち研究者の世界では、新しい実験手法が出てくることが、それまでできないと思っていたことを打破するひとつの有力な手段になります。


それによって、それまで見えなかったものが見えてくるし、測定できなかったものが測定できるようにもなります。


直接、問題解決に迫るのではなく、そこに近づくための新しい手法や方法を探ることが、科学の進歩に非常に大きな影響を与えます。


最近のノーベル賞の傾向は、新しい手段の開発に貢献した人に与えられるケースが少なくありません。


それによって、これまで無理と思われていた研究が大きくジャンプするからです。




問題解決のために、自由な発想をするには、余分な知識があるとそれに捉われてしまう。


今までの自分にないものや、自分の枠(わく)を超えたところにある発想をするには、よけいなこだわりや理屈を捨てなければならない。


理屈屋や皮肉屋は、評論ばかりして行動しない人の代名詞。


なにごとも、やってみなければ分からないのが、この地球という星の決まりごと。


一歩を踏み出し、歩き出さなければ、問題は永久に解決できない。


できない理由を探すのではなく、できる方法を考え一歩を踏み出す人でありたい。