夢を叶えるゾウ、ガネーシャのお話です。



宴銭箱に100円玉を投げ入れ、シャランシャランと鈴を鳴らした。

面接に合格できるように両手を合わせようとすると、突然隣にいるガネーシャがこんなことを言い出した。

「お参りの裏投教えたろか?」

お参りに裏技なんてあるわけないだろ……。

眉をひそめながらガネーシャを見たが、ガネーシャの目は本気だった。

[この方法使うと、願いがかなう確率がなんと三割増(ガネーシャ比)になんねん」
 
「嘘つかないでくださいよ」

「ホンマやって。けど、これ知ってるんは神様だけやから誰にも言うたらあかんで」

「ほんなら質問やけど、そもそも、自分らは何のためにお参りに来るんや?」

「そりゃ願い事をかなえてもらうためでしょう」

「まあ、せやろなあ。けどな、ちょっと神様の立場に立ってみい」

「神様の立場ですか……」

「神様の所にはな、毎日毎日、世界各国津々浦々から『健康になりたい』『お金が欲しい』『恋人が欲しい』『幸せになりたい』て、お便りが寄せられるんや。まあ好き勝手願いよるなあ自分らは。しかもその願い事かなえるために差し出すのが小銭て。自分らの幸せどんだけ安上がりですかーいう話や」

「まあ、言われてみればそうかもしれません」

「けどな、そんな中でやで、たまに、もう、ほんのたまにやで、こんなんがおるんや。『いつもいつも良くしていただいて、神様ありがとうございます」

「へえ…」

「ぐっとくるよね。神様側からしたら、そういうの、ぐっとくるよ。神様連中みんなで言うてるよ。『今の、ぐっときたよね』って。もう、こういう子はな、優先的に願い事かなえたるのが、内々での暗黙の了解になってんのよ」

「そりゃそうやで。神様だってぐっときたいのよ。あ、あとな・・」

「何でしょう?」

「お墓参りもおなじやで。お墓参り行く時はいっつも、【ご先祖様のおかげで自分は、幸せですありがとうございますって、感謝するんや。そしたらご先祖さんもテンション上がってやな「困っていることないか?一肌脱ぐで」ちゅうことになるんや」

「そういうものですか」

僕はガネーシャの話には半身半疑だったけど、とりあえず両手を合わせて感謝してみようとした。



ガネーシャの話はおもしろいです。


ほんとかなって思うんですが、自分じゃなく神様の立場になってみるとそうやなって思います。



相手の立場で考える。


それが最終的には自分にかえってくるんだと思います。