事業再生コンサルティングでは、経営改善計画の作成が欠かせません。

経営改善計画では、売上改善、粗利改善、固定費削減、資金繰り改善などのアクションプランを定め、それに連動した数値計画を作ります。

 

多くの場合、企業は金融機関に返済条件の見直しをお願いする代わりに、返済計画を含めた経営改善計画を示します。

つまり、計画書を作ることがゴールではありません。

本当に重要なのは、計画に書いたアクションを実行し、数値目標を達成することです。

計画が実行されなければ、金融機関から厳しい指摘を受け、社長の責任も問われます。

 

一方で、簡単にできそうな取り組みだけを並べても、十分な業績改善は見込めません。

その場合、経営改善計画そのものの説得力が弱くなり、金融機関の同意を得ることも難しくなります。

 

ここで大切になるのが、コーチングの視点です。

コンサルタントだけが考えて作った立派な計画書は、社長が表面的に納得しても、実行につながらないことがあります。

 

なぜなら、社長自身が悩み、考え、決めた計画ではないからです。

外部から与えられた計画は、どうしても「やらされ感」が残ります。

そこで、社長を経営改善計画の作成プロセスに巻き込むことが重要になります。

 

コンサルタントは、必要な情報提供やフィードバックを行いながら、社長と対話を重ねます。

そして、社長自身が危機感と再生への希望を持ち、自分の言葉で改善策を語れる状態をつくっていきます。

 

また、計画書が完成してから動き出すのではなく、すぐに改善できることは先に着手します。

小さくても成果が出れば、金融機関への説得力が増し、社長自身の自信にもつながります。

 

コーチングは、相手の考えや可能性を引き出し、自発的な行動を促す対話の技術です。

事業再生の現場では、正しい答えを押しつけるだけでは不十分です。

 

社長の気づきと判断を支え、行動が続く状態をつくること。

それが、これからの中小企業診断士に求められる伴走支援です。