「自分のやる気は自分で上げる」
業績が上がらない組織のリーダーに共通する悩みとしてよく聞くのは「部下のやる気が無いこと」です。もし部下にやる気がなければ、上司は都度、部下のやる気を上げることに多くの時間や体力を費やす必要があります。そんな部下ばかりでは、組織として成果を上げることは難しいでしょう。今回はやる気に関して考えてみましょう。
社長になることを夢見て、19歳の時に完全歩合制の仕事に就きました。なかなか成績も上がらず、当時の上司からは大変厳しい指導を受けました。当時の指導は宝の山です。私が社長になる夢を叶えてきた中で、重要な教えを一つ紹介します。「自分のやる気は自分で上げなさい」です。
私を含めた出来の悪い社員に対し、朝礼後、上司は説教をします。我々は申し訳なさと悔しさもあり、つい暗くなってしまいます。そんな我々に上司は言いました。
「君たちは仕事が嫌いなのか? 努力の姿勢や練習量からは、到底やる気のある人には見えない。私が厳しく話すと数日間はやる気を見せるが、すぐ元に戻ってしまう。社長になりたいのなら、自分のやる気は自分で上げなさい。社長なら、やる気を自分で上げるしかない。今できないで将来できるわけがない。自分のやる気は自分で上げ、毎朝やる気に満ち溢れた顔で出社しなさい。それができないなら、社長は諦めなさい」
かなりキツい言い方だったので、反発する心もありました。しかし、至極真っ当な指導を受けていることに気づき、私は素直に、家から出たら仕事モード、常にやる気ある自分でいようと決意しました。
常にやる気ある自分でいると、上司も期待をかけてくれたのか、指導はさらに厳しくなり、辛いこともありました。それでも「結果は出すものではなく出るものだ。結果が出るように、日々、プロセスを大事にしよう」と奮い立たせ、肚が決まった私は数か月後にトップ営業マンになれました。
その後、課長に昇進して部下を持ちます。変わらず自分のやる気は自分で上げましたが、部下にも同じようにさせることは大変難しかったです。部下のやる気が削がれる原因は、会社の方針、仕事内容、上司、人間関係など、周りに原因を求めるのが一般的です。ただ、私は部下に物事の捉え方を教育しました。「周りで起こること全てが教材で全て自分の栄養になる。良いことは真似して、悪いことは反面教師として気をつける」気づかせてくれた周りの全ての人に感謝することを指導します。
一方で、人間の内側から湧き出るそもそもの生命力にも着目しています。今回は3つに絞りご紹介します。①睡眠不足、②体調不良、③働く意義です。
①睡眠不足は驚くほど作業効率を下げます。試しに可能な限りたっぷり寝てみてください。自分も部下もハイパフォーマンスになります。睡眠時間とパフォーマンスの関係は近年、大リーグでも注目されています。
②体調が良いか悪いかでは、やる気に天と地の差があります。適度な運動、食事・飲み物の質・摂り方、冷え対策、入浴、楽しい時間を大切にするなどで、自分も部下も機嫌の良い日々を過ごすようにします。
③働く意義は、稼いで欲しい物を買いたい、目標を達成したいなどの欲求でも良いです。人の役に立ちたい、人を笑顔にしたい、恩返しをしたいなどでも結構です。やる気の源泉は人それぞれですが、「何のために生きるのか」が確立されるとやる気が出ます。
自分のやる気は自分で上げる。自分も部下もそれができるようになれば、個人・組織ともに一層仕事がはかどることでしょう。