「祝 天皇陛下御即位」
この度、御即位された、天皇陛下におかれましては、心よりご祝福申し上げます。平成の時代が終わり、5月1日より令和元年。最初の元号である、西暦645年の「大化」から数えると「令和」は248番目の元号です。初代神武天皇から数え、今上天皇陛下で126代目です。本当におめでたいことです。
連綿と続いてきた日本。権威と権力の分離により、国を統治してきました。皇室研究者の高森明勅氏によると、世界に君主国は28カ国あり、英国のウィンザー家は1714年から、タイのチャクリ王朝は、1782年からと、古くても18世紀初めからです。日本は、日本書紀で見ると紀元前660年から、短く見る歴史学者でも7世紀から1300年以上続いている国です。
約150年前に明治を迎え、平和を願う明治天皇を中心に当時の首脳が異国からどのように国を護るかを考えました。大正を経て、昭和元年。昭和天皇は25歳で一国の国家元首になります。大東亜戦争終戦時には44歳。昭和の時代を背負い、国民統合の象徴として激務に励まれました。
平成の時代、上皇陛下が上皇后陛下と共に新しい皇室の在り方を試行錯誤され続けました。皇室初の民間からのお妃様である美智子様を招き入れ、被災地に出向き、膝をついて被災者を労ったことも過去には例がなかったと言われています。
そんなご両親に育てられた今上陛下。1960年2月23日生まれの59歳。世間の会社勤めで言えば定年退職間近で、老後のことを考えている時期。しかし、今上陛下は違うのです。これからの時代のために生きてきたと言っても過言ではありません。国民統合の象徴として日本国を背負い生きていく。どれだけの重圧なのでしょう。
一般の労働者は年間120日以上の休みがあります。天皇陛下は年間でわずか60日ほど。休みの日に御用邸でご静養されたとしても地元の方々との交流でどれだけ休めるでしょうか。火曜と金曜の閣議決定の日は、侍従が資料を持って、陛下にサインをもらいに来ます。そのサインがないと日本は動かないのです。
宮中祭祀は年に20回以上。毎月の旬祭を含めると400回以上。国賓を招いての行事。各国大使への信任状捧呈式が年間約30カ国。平成30年は42カ国でした。年間約8千人の叙勲者のリストに全て目を通します。三大行幸啓(全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会)への参加、年に60回の皇居勤労奉仕団へのご会釈。人と会う仕事が本当に多く、精神的な疲弊も計り知れません。国民の誰もが持つ権利や自由の多くはなく、職業選択・転居・国籍離脱の自由などありません。
これまでも皇太子としてハードワークと自由が制限された暮らしをされていましたが、これからは国民統合の象徴という重責がございます。それを引き受けてくださったことを当たり前だと思っている国民は多いのではないでしょうか。
雅子皇后陛下も、ハーバード大卒、帰国後東大合格、外務省女性初のキャリア官僚として注目された方です。女性の憧れである雅子様が、キャリアを投げ打って皇室に入ってくださった。今後の人生がどれだけハードなものかをご承知のうえで皇室に入られた。そのお覚悟は想像に及びません。
運命を正面から受けとめてくださった天皇陛下、大きな決断をされた皇后陛下。心から感謝し、令和の時代も、皇室を中心とした日本を少しでも支え続けていきたいと思います。