9月25日に一橋大学開放講座に行って参りました。

ピアノの歴史~技術革新が拓いた魅惑の世界~

如水会館2F スターホールにて。一橋大学言語社会研究科教授・小岩信治さんのお話と、フォルテピアノ演奏の第一人者・小倉貴久子さんのお話と演奏をじっくりと堪能。一橋大学がべヒシュタインのグランドピアノを所蔵していることから、「ピアノの歴史」の多様な展開のうち、今回はドイツ語圏の発展に注目しての講座でした。

 

いつも小倉さんの演奏やお話で、フォルテピアノのことは少しばかり知るようになりましたが、今回の小岩さんのお話はまた切り口が違って、大変興味深かったです。面白い…!ピアノの歴史って奥深い。

 

産業文化と音楽…一見関係性が見えないような二つの世界ですが、これが密接にかかわっていて。音楽を奏でる楽器と、テクノロジーや産業革命といった分野は実は深い関係にあるのです。

 

例えばピアノのフレーム、現代のピアノには当たり前に入っているものですね。16トンから20トン近い弦の張力をしっかりと受けとめるピアノのフレームは鋳物製。ピアノの輝かしく美しい音を長く保つために欠くことのできないフレームは、いわばピアノのかなめともいえる大切な部分ですが、もともとピアノが生まれたころ(今から約300年前)から入っていたわけではありません。鋳鉄の技術が昔はなかったし、弦は細く、張力も今ほど強くなかったので、大丈夫だったんですね。

 

ピアノは貴族社会の中で発達してきた楽器でしたが、18世紀後半になると、産業革命と進展ともにお金持ちの市民階級が出現し、貴族社会の象徴でもあったピアノを買い求めました。このためピアノの需要は急増し、小さな工房で一台一台生産してたのでは間に合わなくなったため、工場での生産に移り変わって行きました。鋳鉄の技術も発達したからこそそのような量産を可能になったのでしょう。

 

何百年というピアノの歴史の中で、時代とともに人々の暮らしや要求が変わっていく中において、ピアノの構造や大きさも変化していきました。広いホールでたくさんの観客に音を届けるために、ピアノはより大きく、より耐久性の高いものをと生産者側が追及して行った結果、現代のピアノの形になったのです。

 

いえ、本当はもっと細かくいろ~んなことがあって現代のピアノに落ち着いたわけですが、今ここでは語らずにおきます。(語り始めると止まらなくなるので(;^ω^)・・)

 

 

 

 


フォルテピアノ
◎アントン・ヴァルター
(1795年製の復元楽器、小倉さん所蔵)
 

モーツァルト ロンドニ長調 K.485

ベートーヴェン ピアノソナタ嬰ハ短調 作品27-2 (「月光」)

 

 

◎ヨハン・バブティスト・シュトライヒャー
(1845年製オリジナル、小倉さん所蔵)

 

シューマン 子供の情景 作品15より「トロイメライ」

シューマン 幻想小品集 作品12より「夜に」

メンデルスゾーン 無言歌集 作品30より「ヴェネツィアのゴンドラの歌」

 

シュトライヒャー近影。ヴァルターもシュトライヒャーも平行弦です。(現代のピアノは交差弦が一般的)

シュトライヒャーにはフレームまでいかないけれど鉄柱が何本か入っています。本当は楽器の中に金属は入れたくないけれど、弦の太さや張力が増してきたため、楽器本体の補強のために仕方なく入れたのだそうです。今では入っていて何の不思議もないのですけれどね。小倉さんがおっしゃるには「ヴァイオリンなど金属は使っていないですよね。ピアノも同じで、もともと木製のものでしたから金属は容れたくないんです。でも、弦が強い力で楽器本体を引っ張って歪みを起こしてしまうので、仕方なく金属を入れ始めたんです。」とのこと。

なるほど、そうか…!

 

ピアノ
◎ベヒシュタイン(1923年製、一橋大学所蔵)

 

ドビュッシー 喜びの島 

 

もうね、3台の楽器全て製作者も年代も構造も何もかも違うのに、どうして小倉さんは全てを見事に弾き分けられてしまうのか。

言葉はとうにどこかへ消え失せ、おくちをぽかんと開けている自分がいました。ヴァルターもシュトライヒャーも本当に素晴らしい演奏。べヒシュタインの名器での喜びの島は、これまた美しくてきらびやかで上品で。

たった2時間の講義。その最後の30分は質問時間でした。その中で印象的だったのが「小倉さんは、楽器が違って弾き方も違うのに、いったいどうやって弾き分けていらっしゃるんですか?」という質問。
小倉さんは「もちろん、この楽器の時にはこのような弾き方をと心掛けていますが、結局は頭で弾いているんではないんです。楽器とコミュニケーションを取りながら弾いています。頭で考えるのではなく、身体で覚えて弾くしかないんです。楽器とのコンタクトが重要なんです」とお応えになっていました。

 

…凄すぎますね。そうなんだぁ~と私たちは頭でその小倉さんの言葉を理解することができても、それを実際にやろうとしてもできないですから。一つ一つじっくり途方もない時間をかけて、一台一台個性の全く違う楽器と対話してこられた小倉さんだからこそ、極めることができた境地なのだと思います。小岩さんも、「そのコミュニケーションする過程が難しいのに、その過程そのものも”楽しい”と思える人でないとできないですね。」と感嘆の声とともにおっしゃっていました。

 

小倉さんの演奏を、こうして当たり前のように聴けるけれども当たり前じゃない。
小倉さんは、身体と心で直接楽器と対話しているのですね。しかもその過程も楽しんでおられる。すごい方だとあらためて思いました。

 

 

参加者のほとんどが一橋大学関係の方々でした。私たち音楽関係の者はほんのひと握り。…でもだからこそ、なんだかうふふな気持ちになってしまうのです。だってそれだけコアな話や演奏が聴けるということだから。しかも、小倉さんの演奏を初めて聴く方ばかりなら、小倉さんのファンがさらに増えますもの。

 

終演後、歴史的楽器に大注目のみなさま。初心者にありがちなのが、楽器を触ってしまうこと。だけどね、楽器を鳴らしちゃダメなのは当たり前ですね。(念のためでしょう、終演前に注意がありました)
それにしても、この熱気。先ほども申し上げた通り、大半が音楽関係の方ではないようでした。そういう方々にも、フォルテピアノへの興味と理解が深まってきたようです。
 

 

本当に、素晴らしい講義と演奏でした!

一橋大学さま、ありがとうございました。

また他の時代や国のピアノの歴史の講座を、できれば定期的に開催してください♪

アンケートにも熱烈リクエストをしておきました。

 

 

 

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