私の大好きなフォルテピアノ奏者、
小倉貴久子さんの演奏を聴きに行って
まいりました。
「モーツァルトのクラヴィーアのある部屋」
第31回 ゲスト作曲家 C.Ph.E.バッハ
Carl Philipp Emanuel Bach [1714-1788]
小倉 貴久子（クラヴィーア）
東京オペラシティ・近江楽堂にて
詳細はこちら→メヌエット・デア・フリューゲル
C.Ph.E.バッハ：
「音の肖像画」Wq.117より「ベーマー」
練習曲集よりソナタWq.63-1
変奏繰り返しつきのソナタ イ短調Wq.50-3
「スペインのフォリア」による変奏曲Wq.118/9
わがジルバーマン クラヴィーアとの別れのロンドWq.66
C.Ph.E.バッハの感情〜自由なファンタジーWq.67
モーツァルト：
小品 へ長調K.15t
プレアンブルムK.deest
「美しいフランソワーズ」による変奏曲K.353
ファンタジー ハ短調K.475
ソナタ ハ短調K.457
小倉さん所蔵・フォルテピアノ
（クリス・マーネ製作、アントン・ヴァルター1795年のレプリカ）
私は一列目のこの至近距離で聴かせて
いただきました。
もう少し後ろで響きを楽しまれる方、
私のようにかぶりつきが大好きな方、
さまざまです。
こんなに近くても、いやどこで聴いても
小倉さんの演奏はいつも輝いています。
温かな雰囲気の「近江楽堂」、
小倉さんの語り掛けるような演奏。
その場に居合わせた全員の心がとろけた
のは、いう間でもありません。
ヴァルターでの小倉さんの演奏は
何度も聴かせていただいていますが、
毎回新しい発見があります。
そして感じ方も少しずつ深まっている気がします。
直に演奏を聴き、その感動を表現するのは
難しいですね。いっそ表現しないほうが
いいのかも知れない。
でも、伝えたい気持ちはあるんです。
みなさんに体感していただきたい、この親密度。
小倉さんだからこそ生み出すことができるその
音色は、琴線に触れる…どころではなくて
（←私の場合）、琴線だけじゃなくて心まるごと
わしづかみ…といった感覚でしょうか。
わしづかみされても全然嫌じゃない感。
と言うかそのままどこまでも連れて行って欲しい
と思ってしまうほどの心地よさなのです。
今回は、フォルテピアノ（ヴァルター）と
クラヴィコードの2台の演奏を堪能しました。
小倉さん所蔵・クラヴィコード（1770年製モデル）。
聴く人それぞれの心を揺り動かすような、
魅力あふれる楽器でした。
やはり実際に目の前で聴くと印象は全然違います。
クラヴィコードの鍵盤部分。
5オクターブほどでしょうか。
クラヴィコードはビブラートがかけられるのですが
（ベーブング）、その効果を含めて芸術に仕上げる
のは・・・私などの凡人ではできそうにありません。
こちらのクラヴィコードは、一音に対して2つの弦
が張ってあるそうです。
ものすごく繊細な楽器、クラヴィコード。
でも、小倉さんが弾くと弦はもちろん箱ごと
”鳴っている”、”響いている”感じでした。
美しい・・・！
クラヴィコードの右側には、響板があります。
美しい柾目♡
演奏も楽器も美しすぎて、時間も日常生活も
忘れました。
クラヴィコードの譜面台。
なぜか小倉さんは一曲終わるごとに、
譜面台を楽器から降ろされていました。
不思議でした。
後日、小倉さんが教えてくださいましたところ
によると…
「私がヴァルターを弾く時に、クラヴィコードの
譜面台と私の顔が被る席の方がいらっしゃる
ので…」とのこと。
聴く人のことも常に考えて演奏される小倉さんの、
きめ細やかな愛情が伺いしれてまたまた感動。
感動を共にした仲間とともに。
小倉さんの飾らないご性格も大好きな私です。
終演後、お疲れでしょうに…最後まで笑顔で
私たちと話してくださいました。
みなさま、機会がありましたら小倉さんの
フォルテピアノを生でぜひ聴いてみてください。
小倉さん、今回も素晴らしい演奏を
本当にありがとうございました。
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