少し前のことになりますが、
1月6日は川口成彦さんのリサイタルに
行ってまいりました。
会場は池袋にあります自由学園の講堂。
重要文化財の建築物でもあります。
使用楽器
１８２０年製のオリジナルフォルテピアノ
Johann Georg Gröber (Insbruck1820)
プログラム
F ショパン (1810-1849)
ポロネーズ 変ロ長調 op.71-2
12の練習曲 op.25より
第1番「エオリアンハープ」、第5番、第10番
4つのマズルカ op.24
ポロネーズ 嬰ハ短調 op.26-1
ポロネーズ 変ホ短調 op.26-2
葬送行進曲 (ピアノソナタ第2番op.35より) 他
非常に繊細で美しい音色を堪能しました。
川口さんのフォルテピアノは、
抜群の安定感とクリアな音色。
絹のような滑らかな弱音から、
男性の力強さが潔く心地よいｆｆまで…
聴く者たちを一瞬でその美しい世界へと
惹きこんで行きました。
指は鍵盤にすっと吸い付いて、無駄のない
動きでグルーバーの一番良い音を
常に引き出していました。
指と楽器と耳が一体となっていました。
私はすぐそばの席でガン見しながら（笑）
聴いていましたが、そのタッチや音作り
にはうなるばかりでとても真似できそうに
ありません。
川口さんは、まだとてもお若いのに、
とんでもなくレヴェルの高い演奏を
なさる…と驚嘆しっぱなしでした。
それほど確固たる世界感を持った方
です。
今回のプログラムのほどんどは、
ショパンがパリへと旅立った後のもの。
この1820年のグルーバーは、ショパンが
まだワルシャワにいた10代のころと時代が
かぶります。
恐らくは、子供時代にこのようなウイーン式
アクションのピアノに親しんでいたのだろうと、
想像を巡らせた上での今回のグルーバー。
パリ時代はプレイエルやエラールを愛した
ことは有名ですが、ワルシャワやウィーン
ではウィーン式のフォルテピアノを弾いて
いたからです。
後の彼の作品にもウィーンの音色が大きく
影響を与えたと思われるとのこと。
さて、今年はショパンコンクールのフォルテ
ピアノ部門が初めて開催されます。
知らない人などいないであろう、この超有名
なコンクールにピリオド（古）楽器演奏の参加
を組み込んでくるとは…なんと嬉しいこと
でしょう。
”コンクール”である限り、恐らく予期せぬ
いろんなことがあるのでしょうけれど、
それでもピリオド楽器を使用しての演奏
の重要性を関係者だけではなく、
世界中の人たちに感じてもらえることは
本当にすごいことだと思います。
※参考までにこちらをどうぞ（Facebookページ）。
※Facebookをされていない方はこちらを。
公式ページ（英語）
第一回目となるショパコン・ピリオド楽器部門。
ショパンに縁が深いプレイエルやエラール
の他にもウィーン式のフォルテピアノも用意
されるとの事です。
私の勝手なカンですが…
川口さんはおそらくこのコンクールに
出場されるのではないでしょうか。
今回のリサイタルを聴きながらそんな
ふうにお見受けしました。
そしてこれも私の憶測ですが、もし
ご出場なさったら…相当上位へ行かれる
のではないでしょうか。
（私の中ではすでに優勝決定です）
それほど抜きんでて異次元の演奏だと
感じましたので。
私は、みなさまご存じの通り小倉貴久子
さんのフォルテピアノが大好きですが、
お弟子さまでもいらっしゃる川口成彦さん
の演奏もまた、類まれな魅力にあふれて
いました。
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