そろそろ年末年始の準備に取り掛からないと…!
という時期になりました。
仮にも音楽に身をゆだねる者としては、年末恒例のベートーヴェンの
“第九”を聴き逃すわけには参りません。
…などと言いながら、年末年始は演奏会に足を運ぶことができずに、
ラジオやテレビから流れてくる名演を、家で楽しむのが現実ですが。
私は、楽聖・ベートーヴェンが好きです。
その作品や、生き方に大変感銘を受けるのです。
もちろん、大作曲家はバッハだって、ハイドンだって、モーツァルト、
シューベルト、ショパン、リスト、シューマン、ブラームス、
チャイコフスキー、ラフマニノフ、ラヴェル、ドビュッシー、フォーレ…
全部…大好きです。
弾くのは苦手…という作品もたくさんありますが。
でも、ピアノの美しい音色を聴いていると、
「あぁ、ピアノってやっぱりいいな。」
と思うのです。
しかし、そのすばらしい作品を生みだした作曲家たちの人生は、
残念ながらみんながみんな、「幸せな」ものではなかったこと…!
どちらかというと、困難や苦悩に満ちたものであったようです。
その代表格が、ベートーヴェンではないでしょうか。
1770年、ドイツのボンに生まれ、
偉大なる祖父の名(=ル―ドヴィッヒ)をいただき、
幼少時代は父の厳しい(無謀な?!)レッスンに耐える日々。
青年時代は、音楽の都にて武者修行。
尊敬するモーツァルトにも出会うけれども、
心のよりどころの母の危篤の知らせを受け、故郷へ戻る。
そして、母の死を見届けて…、弟たちの世話も引き受けながら~の
飲んだくれの父の面倒も見なければという、過酷な生活。
私だったら暮らすだけで精一杯で、
とても”自分の芸術に没頭したい”という
意欲は持てないでしょうね。
”芸術に没頭する”と言うことは、
大変崇高な精神世界の具現化だと、私は思います。
だれにでもできることではありません。
技術、知識、センス、直感、精神力などさまざまな条件において、
群を抜くパワーと魅力がなければ、その名も作品も残らないでしょう。
そして…それを生みだすための資金も不可欠です。
だって、現実はお腹は空くわけですから。(苦笑…)
食べて行かなきゃ、ダメなわけですから。
悲しいかな、それが今でも”芸術”という分野に携わる者にとっては、
宿命ともいえる課題です。
ベートーヴェンは、あらゆる困難に向かっていった、
勇気のある強い人ではなかったかと、つくづく思います。
作品にもそれが表れていると感じますが、
なにより、音楽家にとって致命的である“聴力を失う”ということ。
30代半ばから、その兆候は表れ始めていたようです。
でも、どんなに苦しくてもそれを打ち明けずに作曲を続けました。
(親しい友人には手紙で話したようだけれど…)
遺書(ハイリゲンシュタットの遺書)も書き、すべてをあきらめようと決意
するも、命の尊さに気づき困難を抱えながらも生きる決意を固めます。
まさに、不屈の精神です。
56歳で命を終えるその瞬間まで、
”希望を捨てずに生き抜いた人”。
…それがベートーヴェンと言う人物であると思うのです。
私は、その精神を心より尊敬しています。
その志を、ほんのひとかけらでもいいから、受け継ぎたい。
ベートーヴェンの名が、街中にひときわ響くこの季節に、
私は、そんな思いを新たにするのです。
「音楽のドラマを伝えるためには、
演奏家は役者であるべきであり、
音楽を感じ、顔を身体で感情を表現しなければならない。」
L.V.ベートーヴェン
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